ダーク・ファンタジー小説

凛花と恐怖のゲーム ( No.112 )
日時: 2015/02/02 07:26
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: 9mRpGzcK)

どんどんスピードが上がる。

「ヒィィィィ!」
「ぐぐぐぐぐ」

顔に風が当たって、ぎゅうううと顔が曲がる。
紅も、顔をグニャリと曲げている。
なのに、颯斗は楽しそう。

「ヒャッホー!」
スピードはどんどん上がっていく。
もう、空を飛んでいる感覚ではない。
宇宙から大気圏を突破してくる隕石の気分。
大気圏なんて、行ったことないけど・・・

白銀の狼は、空がまるで自分の家の庭かのように走り回る。
「うううううう!」
「ゲホッ」
「たっのしぃ!」(楽しい)

狼は、銀の毛並みがなびき、美しい。
「ハハハハハ!」
狼は、どんどん支配人との差を広げる。

「追いつけるもんなら、追いついてみろって話だな!」
「あんまり、挑発し過ぎない方が・・・」
颯斗は、そんなことお構いなしとスピードを上げた.
「チョー楽しい!」
凛花は、全く楽しくない・・・

「そろそろ、地上へ戻るか!」
「えっ?」
地上へ戻る=落ちる
「ギャァァァァァ!!!!」
自分の悲鳴で鼓膜が破れそうだ。
紅も、耳に指を突っ込んでいる。
「ヒヒッ!ビビリの凛花!」
颯斗は、クルリッと空中で宙返りをした。
「何やっとんじゃい!」
凛花が颯斗を殴る。


ボコッ


「イッテェ!何すんだよ!」
「それは、こっちのセリフ!空中で宙返りなんかする奴がおるかボゲェ!乗ってる方が危ないんだよ!」

「知るか!!」
また、颯斗が笑った。
颯斗の笑顔は、怒りを鎮めてしまう・・・
「しっ・・・仕方ないなぁ。」
凛花は、フゥとため息をつき、前髪をワシャワシャと揺らした。