ダーク・ファンタジー小説

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.184 )
日時: 2015/03/23 23:04
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)

汚れた頬を、
パシパシ、颯斗は叩く。

しかし、
ガクリと頭は横に向いたまま動かない。

まぶたも、ぴっちり、
張り付いたままピクリとも、動かない。

「嘘だろ……」

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ___________

トウジも、
放心状態のまま、動かない。

「「「「りんかぁ!!!!!」」」」

狼に変幻して、
牙で甘噛みをするが、動かなかった。

トウジは、
唇を噛み締めしゃがみこんだ。

助けることが、出来なかった。

助けることが、出来なかった。

どんどん、
颯斗の握っていた白い右手の、
温かみがなくなる。


「意味わかんねぇよ!どういうことだ!」

トウジの足元で、
白い骨が、バリバリと音を立て砕けた。

もう、ゲームは終わるんだぞ………
だって、、、、、、アイツは、死んだんだ。

支配人のいなくなった、この世界_______


誰が、動かす?



誰が、支配する?



誰が、指揮する?


_____いねぇだろ!
だから、「 game over」じゃねえか!

俺たちは、解放されるんだ。
なのに、なんで………

もう少し、待ってくれれば、みんなで………


******************************


ここは、どこだろう。

白いパーカー、水色のショートパンツ、白いハイソックスの少女は、

トンネルの中だった。

視線の先には、白い光がある。

一体、ここはどこなんだろう。



「「「りんかぁ!」」」


背後から、何処かで聞いたような声がした。
けれども、誰の声か、思い出す事が出来ない。

凛花と呼ばれた少女は、視線の先から聞こえる声を追いかけていた。

「凛花………」

なんだか、向かわなければ行けない気がした。
この声の他にも、楽しそうな笑い声もした。
振り返ろうかな。
一瞬、そう考えた。

動いていた足が止まり、振り返りそうになった時、
トンネルは、パァッと姿を消した。

「えっ!」

さっきまで、暗いトンネルだった場所は、

青い、青い、空と化していた。

美味しそうな、匂いがする。

暗かった凛花の顔は、途端に輝き出した。

ここ、天国かな。
ここ、楽しそう。

スニーカーは、消え去り、裸足で地面を蹴った。

「凛花!来ちゃダメだ!」

空が、バキン、と割れそうな声がした。
知ってる、この声。

この声は、森山ミミ………

「凛花、戻って」

この声も、知っている。

ユズリ………

『ミィんなぁ〜』

掠れた声が、溢れ出した。

「凛花は、生きて。」

それでも、凛花は歩き出した。
ザワザワと、騒ぎ出した死者達は、群がり壁を作った。
まるで、凛花を通さまい、というように。
壁には、セイの顔もあった。


「なんで?なんで?」

『凛花は、クリアしないといけないの。
そうじゃないと、私達は、{死んだ意味}がない!』

ミミが叫んだ。
ミミは、私を助けるために、自分の命を_____

そして、ミミのセリフが合図だったかのように、


『帰れ、帰れ、帰れ、生きろ、生きろ、生きろ、帰れ____』

「なっなんで?帰ることは、出来ないはず………」

『まだ、間に合うよ。ねぇ、帰って!』

叫んだ。ミミは。
空を、指差した、その指の先には、大きな扉があった。
そして、大きな口を開けている。

いきなり、凛花の襟を、颯斗はくわえ、背中に乗せた。
えっ、なんで、ここにいるの?
なんで?

「颯斗、なんで、ここにいるの?」
「言えねぇ〜よ。秘密だな。」

凛花は、颯斗の頭を掴んだ。

「教えろ、クソガキ!」
「痛い痛い!わかった、わかった。」

パッと、掴んでいた手を放す。

「ああ……前に、
死んだけれど、生き返ったじゃん!だからさ、………」
「?」
「あッ、ほら、前に死んだじゃん?」
「潰されたね。」
「んで、一回地上から、おさらばして……それで、顔パス?」
「いや、意味わかんねぇ。」
「また、遊びに来いって言われてたし………」
「それ、死ねって言われてるよ?それも、説明になってないし。」
「死んだ人間は、戻ってこれるんだよ!道、覚えたから。」
「道なんて、あるの?」
「ある。」
「自殺し放題じゃん。」
「とにかく、死んで、生き返っても、完全には、生き返ってなくて、亡霊?」
「あっ、死んでるの?」
「ああああああああ!俺、説明できねぇよ。」
「・・・・・」
「あっ、思い出した。狼は、神の使いだから、行き来できる!」
「あっそう。」

その時、誰かが叫んだ。
話を、中断して、空を見上げた。
大きな、扉が閉まりかけていた。

「帰れなくなる!」

よくわからないままに、凛花はそう叫んでいた。
なんだか、直感で、あの扉がしまってしまえば、帰れなくなる気がした。
「早く、帰るなら、帰りなよ!」

誰かが、叫んだ。
颯斗は、その声を聞くと、狼に変幻した。

「帰ろーぜ。」
凛花を、くわえ、背中へ放り投げた。
放り投げられた凛花は、毛に捕まり、落ちることはなかった。
乗ったことを確認すると、颯斗は、上昇した。

「飛び込むの?」
「うん。」

下からの声が聞こえ、

『早くぅ!』


颯斗は、加速した。

残り………5m。



バタンッ



そんな、音が世界に響いた。

閉じた………
えっ?

「凛花………ごめん。間に合わなかった。」

「………ハァ!?」

下から、溜息が聞こえてきた。
コソコソ、話し声がする。

「次、開くのいつだろね?」
「気まぐれOpenだからねぇ〜」
「間に合わない人、これで何人目だっけ?」
「レアだねぇ〜」

嘘だ嘘だ嘘だ………
颯斗の、羽がボキリと、音を立て折れた。

目の前が、真っ暗になる。

そのまま、私達は、落下して行った。