ダーク・ファンタジー小説

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.192 )
日時: 2015/04/03 21:20
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)

ギロチン、怖い

ギロチン、グロい

ギロチン、嫌い………

頭の中で、そんな単語ばかりが、グルグルと渦を巻く。
地獄、コェェェ
恐ろしい〜

颯斗共に、『あの場所』を後にすると、
スタスタ、先を急いだ。
早く、あの場所から離れたかった。

道は、次第に狭くなり、2人並んで歩くことは不可能となった。
断崖絶壁の、落ちそうな道を進んでいく。

地獄って、こんなに広いの?
歩いても、歩いても、道が続く。


「だるい。」

凛花は、ついに心の声を漏らした。
その後で、ヤバッと口を塞ぐ。

「凛花…………」

背後から、物凄い圧迫感が………

「だっ、だるくなんか、ない!さぁ!早く、帰り道を探そう♪」

冷や汗を、
額から流しながら、
颯斗の顔色をうかがう。

めんどくさい、幼馴染だわ………


_________


目の前に、古い立て札が現れた。

「right→鉄の処女・Left→ファラリスの雄牛」

何この、嫌なネーミング。
鉄の処女って、「アイアン・メイデン」の事でしょ?
16世紀に、
ドイツのニュルンベルクで、
作られたとされるものが、有名らしいけれど。
なんか、聖母マリア様を模してるらしい。
どう考えても、マリアには見えないけれど。
だってさ、アイアン・メイデンの表情、不敵な笑み浮かべてるんだよ。

あと、構造の話をすると、
人体型カプセルの内側に鋭い針が取り付けられている。

また、それが長い!
人体を、貫通するらしい。
針は、急所を『避けて』、普通なら、急所に刺すでしょ?
そこを、ワザと避ける。
そういう風に、設計してある。

犠牲者は、失血により、うめき声が漏れないように、
『密閉』されたカプセルの中で絶命。

誰だよ。
こんなの考えたの。

本当か、知らないけれど、目玉も、ブっ刺すらしい。
コエエエエ


ファラリスの雄牛は、
古代ギリシャで、設計された、拷問、及び処刑のための装置。
この、牛の中に、有罪になった人間を、閉じ込め、
牛の下で日を焚く。
炙り殺す道具だよね。

これも、聞いた話だけれども、
ラッパ的なものが付いていて、中の人間は、
息ができないから、
そのラッパで、空気を取り込もうとする
けれども、実際には、吸っているわけではなく、
音を鳴らしている。
それを聞いて、外にいる人間たちは、楽しむ。


ああ、怖い。
さぁ、どっちの道を行くべきか。
アイアンは、絶対に避けたい。
なら、ファラ牛?

「凛花、左へ行こうぜ。焼肉食えるかもしれねえ。ああ、腹減った。」

馬鹿か、颯斗。
ファラリスの雄牛は、生きてる牛じゃねぇ。
食えるのは、牛の肉ではなく、人間の炙り肉だよ。
まぁ、焼肉という点では、正解だが‥……

「凛花、牛肉くわねぇの?」

振り返り、カクンと首を傾げる颯斗。

「颯斗、夢を壊す気はないが、焼肉は食えるが、牛肉ではない。」

「あっ、豚肉なのか。」

「違う」

「鳥か?」

「違う」

うーん、と考え込む。
他の、肉を探しているようだ。

「羊」

「違う」

「ロース」

「牛・豚・羊の肩の肉だ。」

「牛タン」

「牛の、舌の肉だ。」

「うーん。肩ロース、ロース、ヒレ、モモ、バラ、肩……」

「全部外れ。」

「うーん。
ネック、肩バラ、スネ、肩ロース、リブロース、ヒレ、サーロイン、
ランイチ、外モモ、内モモ、トモバラ…………」

「全部外れ。どうして、肉に詳しいんだ。」

「ササミ、手羽先、モモ、胸」

「違う。もう、いいよ。正解は、人肉だ。」

エエッと、颯斗は、衝撃を受け、停止した。
しかし、すぐに再起動して、

「家で、肉食う」

そう言って、道を進み始めた。
進む道は、最初に決めた「ファラリスの雄牛」の道。
早く、帰りたい。
早く、日本へ帰還したい。
ハァ、とため息をつき、ファラリスの雄牛に向かって進んで行った.



「なっ!なんだよ!これ。」

目の前には、長蛇の列ができていた。
看板が、立てられ、そこには

「ファラリスの雄牛の刑は、4時間待ちです。」

どんだけ、死人が出てるんだよ。

プープープー

列の、向こうから、ラッパの音がする。
刑が、実行されているんだ。

白い煙が上がり、空の彼方へ消えて行く。

「貴方達、受刑者?」

係員に聞かれ、ブンブン、必死に首を振った。
絶対に、嫌だ。

「あっ、違うの?見学者?」

必死に、首を縦に振る。

「あっ、なら、巻き込まれないように。」

そう言って、係員は離れて行った。
ああー危なかった。