ダーク・ファンタジー小説
- Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.235 )
- 日時: 2015/05/18 19:17
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wIulFSp9)
「あれを・・・終わらせないと」
ハルは体を引きずり部屋の端へ向かった。
そこには、大きな機械がある。
「これで、終わり。もう、心配は・・・要らない」
真ん中に赤いボタンがある。
これを押せば、この実験室の中にある情報は洩れないハズ。
そして、実験室の存在ごと消して______
ハハと不気味に笑いボタンに手を乗せた。
(アキ、後は任せたから・・・)
「アキ!大変!早く、外へ出て!」
こうして、逃がして私だけが消えればいい・・・
大好きだった実験室と一緒に消えるんだ。
「ハル!先に出る!」
アキの声が遠くで聞こえる。
もう、大丈夫かな____
バタン!
家の玄関の扉が閉まる音が、した。
「走って、アキ」
「ハァハァ」
ハル・・・
僕は逃げた。
お前を置いて___
お前は実験室と共に死ぬのか?
背後から警報機の音が鳴り響く。
「えっ・・・」
何だ?
アキは、振り返った。
警報機はもしかして_____
「「「「「「「「ドゴォォォォォォン!」」」」」」」
パリパリと、ガラスが割れる音、煙の臭い・・・
天まで昇る黒煙。
「ああああああああ!ハル!」
ハル・・・
アキは、黒煙の上がる家に向かい、走り出した。
「ハル!ハル!」
誰か、ハルを助けて____くれよ。
崩れていく自分たちの思い出の家。
もう、どうすればいいんだよ・・・
傾いた家の扉は歪み、開かない。
ハル_____
アキは、その場に崩れ落ちた。
「僕は、僕は____くそぉ」
悔しいよ。
お前はさ、戦争なんかしたくなかったんだろ?
『戦いを終わらせる戦い』をしようとしていたんだよな?
たとえ、それがしてはいけないことだとしてもどうしても終わらせたかったんだよな?
お前は、ずっと実験をしてたよな・・・
武器を作りつつ、人々の心を癒すことが出来る薬を作る実験を。
僕には、何も教えてくれなかったけれど。
それは何だったんだよ。
凛花は上着のフードに何かを感じ、手を伸ばした。
そこには四角い封筒が一通入っていた。
「颯斗、なんか封筒が・・・」
「・・・大丈夫か?怪しいものじゃねぇよな?」
颯斗は恐る恐るそれを取り出し、封を切った。
すると、モゾモゾと黒い塊が動き空へ昇って行った。
「なんだ?あれ」
ポカンとそれを眺めていると、それは少しずつ広がり何かを落とした。
ポタ、ポタ、ポタ・・・
小さな滴が降り始めた。
「これは____」
「雨だ!」
凛花が颯斗に続き叫んだ。
アキは頬に冷たい何かを感じ、空を見上げた。
空には太陽ではなく、真っ黒な雲が広がっている。
「これは___」
滴が乾いた大地を濡らしていく。
_________雨だ。
「ハルは、雨を降らしたかったのかよ?」
雨は、長くは続かずすぐに止んでしまった。
「すぐに止んでしまったよ?これは、失敗作なのか?」
しかし、ハルは雨を降らすことが一番の目的ではなかった。
雨がやむと、雨雲はどんどん小さくなり最後には消えてなくなってしまった。
「最期の実験は失敗に終わってしまったんだね。」
アキは、ペタリと地面に座り込んだ。
地面がぬれていても関係なかった。
ふと、上を見上げた時何かが見た。
『カラフルな橋』・・・
「ハル!実験は、成功していたよ!」
アキは叫んだ。
そう、大空には虹が出ていた。
雨は虹の種だったんだよ。
「君は、虹を作りたかったんだね!けれども、君は見ることが出来なかった・・・」
『アキ、ちゃんと見てるよ。遠くからでも見えるように計算したから・・・けれども、一つ願いがかなわなかった』
それはね、”3人でみることだよ”
『だよね、アキ・・・・セイ』
「凛花、颯斗ゴメンね。
最後のお願い、封筒の中身を空へ。
それはね薬だよ。
傷も、心も癒してくれる薬だよ。
雨の様に降って来てみんなが争いをやめるんだ。
皆に幸福が訪れますように。
ハルより」