ダーク・ファンタジー小説

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.253 )
日時: 2015/06/10 22:14
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: r9aqtm1a)


女は、壊れた仮面の隙間から凛花達をみていた。

知り合いが死ぬ、悲しいだろうね。

私だって、みんな死んでる。立場は、同じ。

腕に抱いた死体を女は見つめた。

黒焦げの顔は、目を見開き、口が半開きになっている。

ボロボロの服の穴からは、血だらけの千切れた腕が覗く。

振り返れば、下半身が無くなり臓器が飛び出している人間。

頭が吹っ飛び無い人間。

頭が千切れかけた人間。

結局、どんな死に方でも『死』と言う事は変わらないのだが…………

未来を潰された……こんな奴らに未来などなかったのかもしれない。

人を殺した人間には、『未来』などやってこないのだ。

人を殺してしまった『過去』に縛られたまま、『未来』というものを見る事ができない。

そうなんだろうな、故意に人を殺してるんだよな。

凛花は、紅を見つめた。

どうしてもう、死んじゃったんだろうね。

紅を責めた……いや、自分の怒りをぶつけていただけなのかもしれない。

「どうしてさ………死んじゃうの?」

ボロボロと雫が紅の顔に落ちていく。

なんでだよ、もう誰も殺させない!って誓ったのに。

なんで、無茶しちゃうの?

ミミも、同じ。私のために、腕を鬼に食わせて停止させた。

どうしてさ、命を大切にしてくれないの?

涙が溢れてきて止まらない。

「うっ、うっ、なんで死んじゃうの???バカァ!」

死体を殴りたい。殴って良いのであれば、気が済むまで殴りたい。

拳を振り上げるが、その手を顔面におろせなかった。

殴れなかった。

別に、死体を殴る事が怖いわけでは無い。

不思議な力が止めている?

殴りたいよぉ〜

凛花は、軽く拳を握り紅のえぐれた頬に当てた。

ぐにゃり、と肉に拳がのめり込む。

うっ………吐き気が凛花を襲った。なんで?今まで吐き気なんてなかったのに。

颯斗が潰れた時も、吐き気はなかった。

なのに、なぜ今は吐き気が襲ったの?

胃から、ドロドロした液体が込み上がってくる。

「うっ……」

口の中に、その生暖かく苦い液体が広がっていく。

苦しい……

呼吸が荒くなり、どんどん苦しくなる。

「俺の上で吐くなよ?」

颯斗は、凛花を見上げ前足で凛花の頭を撫でた。

フサフサとした毛が頭にあたり気持ちが良い。

「……ありがとう」

口の中の液体は、その間にも溜まってきていた。

「地上へ、降りるからそこで吐けよ」

何があっても、自分の上で履いてもらいたく無い人間。

颯斗は、ずっと凛花に声をかけ続けた。

「まだ、吐くなよ。まだだ!ウワァア!ヤメロォ!」