ダーク・ファンタジー小説

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.259 )
日時: 2015/06/20 18:39
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)

「物理攻撃しか、俺は出来ない」

と、レンが弓を射る姿勢をとる。レンの射は、イマイチという所か。この間は、成功率がほぼ0の技を繰り出したのだったが、マグレのよう。

ライトは、攻撃技を覚えようにも師匠が居らず、その願望は叶わなかった。この世界には、ライトと同じドラゴンはいるのだろうか。

ライト、だけがドラゴンなのだろうか。獣化する人間は、いるものの(颯斗)そのままの獣生物は存在していない。

このゲームの死神、鬼でさえロボットなのだ。精巧に作られた。皮膚の下には、血管がある、内臓までもが再現されたロボット。

伝説上の生物は、ほとんどがロボットだ。颯斗や、ライトを除く。やはり、居ないのだろうか、ライトの師匠は。

このゲームでも、まだドラゴンにはあった事がない。それは、居ない事を意味しているようにレンには思えた。

レンは、弓を下ろし息を整える。今、実験しよう。これが、成功すれば大きな力になる事ができるのだ。

今、『あの技』を試そう。炎のドラゴンが飛び出てくるあの技。

「ライト、下がっとけ。ドラゴンの丸焼きになりたくないだろ?」

ライトは、意味を読み取りぞっと、身震いする。どうやら、丸焼きになった自分を想像しているようだ。

(頼む、来てくれ)

レンは、心の中で祈っていた。成功、してくれ。ギッシッ……

左手を離し、矢を解き放つ。ベチン、と腕に弦が当たり、腕をえぐっていった。

腕から赤い液体が、雨のように落ちていった。

ハッ、として腕を見ると擦り傷が出来ていた。その傷にはジワリと血がにじんでいる。

「ぐっ……」

ライトは、レンの異変に気が付いていないのか飛んでこなかった。そればかりか、呑気に、

「レン!早く試さないの?ドラゴンを出すんでしょ?見せてよ!」

今、射ることができる状態ではないと、レンは判断した。俺が、壊れる……。そう、判断してレンは弓をしまいライトの方へ向き直った。

「ごめん、ライト。矢が減っているんだ。調達に付き合ってくれないかな?」

矢が減った、そんな言い訳を使うのは今回が初めてだった。今まで、こんな事なかった。今までは、ミオウがいたから落ち着けた。

けれども、俺は今ミオウを失っている。
それが、上手く出来ない理由なのだろうか。

ライトは、レンの矢ケースを覗いた。

まだ、十分と言っていい程、矢は残っている。

ザコを1000体は殺せる程の矢の数、それなのにレンは調達する気なのか?

疑惑が芽生え始める。(もしかして、レンは射てないのではないだろうか)

それは、当たってた。レンは、射てないのだ。

ミオウは、レンの精神安定剤のような存在。

精神が乱れたレンには、射てなかったのだ。

それでもライトは、レンの後に着いていった。

レンは、きっと避けている。射ることを。

それでも、僕はレンの親友。

どこまでもついていくつもり。

行こうよ、行くことで君が変わるのならば。