ダーク・ファンタジー小説
- Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.262 )
- 日時: 2015/06/25 19:30
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)
「いただきます」、その言葉を言うだけなら簡単だった。
けれども、体は動かない。
死体を目の前に肉を食べるのにはやはり抵抗があった。
肉を両手に乗せたまま静止する。
口の近くに持っていく事さえ出来なかった。
「うぅ……あぁ……」
口から言葉だけが漏れていく。
何分待っても、体は動かなかった。
その時、視界がぐらつき世界が180度回転した。
円を描く様に目が回ったあと、意識が遠のいていった。
「……か!……りん………か」
名前を呼ばれ、重い瞼を持ち上げる。すると、目の前には獣化して凛花を押し倒す様にした颯斗がいた。白い毛が視界を真っ白に染める。
「……俺が今飢えた時、凛花を食べるという手段がある。しかし、人間の凛花はどうだ?俺を食べられない。ならば何を食べ、どう生きる?目の前にある肉を今は食べるんじゃないのかよ?もし、凛花が俺を食べられるというならば話は別だが?」
パクパクと、金魚の様に口を動かしたまま停止する。何かを喋りたいが、声が出なかった。恐ろしさ、それだけが体の中に渦を巻く。
「うぅ……あぁ……」
言葉にならない様な声ばかりが口から漏れていく。
「うぅ……はゃ……ぅ」
「凛花、食べる事の有り難みを知れよ」
分かってる!、そう言い返したかったのに体は勝手に頷いていた。すると、颯斗は凛花から滑る様に降り、口をカパリ、と開け凛花の首元に顔を近づけ耳を軽く噛んでいた。
「っ……いたいって!何々?食べる気!?」
「約束」
颯斗の言葉の意味が全く理解出来なかった。やくそく?何それ。意味わかんない。うん、意味が全くわからない。
噛まれた部分に手を持っていくと、何かがあった。凸凹とした部分。
「噛んで、跡つけといた!約束の印!」
しばらくポカーンとしていたが、
「バッカヤロー!勝手に傷つけてんじゃねぇーよ!これ、すぐに消えるだろうな!?」
さぁ、と肩をすくめる颯斗。
不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味不気味。
不気味すぎて気持ちが悪い。消えてくれなきゃ、現実に戻って恥ずかしいだろーが!
理由をなんて説明するんだよ!
颯斗に歯型つけられたって言ったら引かれるだろーが!
学校側にはピアス穴とか言われて不良扱いされるだろーが!
ぞわぞわっと背中を無視が這う様な感覚に襲われる。
「消えてくれなきゃ、殺処分だからな!」
ビシッと颯斗に指さし、睨みつける。
「殺処分=殺人では?一応、人間でもあるし」
「しらねぇーよ!狼の姿で噛まれたから、殺処分だよ!」
「俺は、死ぬ気ないし」
そう言って、颯斗は紅の遺体を指差した。
「お前みたいな死に方は絶対にしない!」
ライバル心は、死んだ後もある様で。
キラリと牙を見せながら笑って紅に手を振った。