ダーク・ファンタジー小説

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.263 )
日時: 2015/06/28 13:17
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)


じっと、レンがミオウを助けに向かう事を待った。が、中々出発せず矢の調達もしなかった。(いつになったら……)
レンは、遊んでばかりだ。空を飛んでいる鳥を矢で撃ち落としてみたり、ライトを弄ったり。

レンは、退化しているのでは無いだろうか。昔のレンは、何処に……。ミオウが攫われてから数日が経った。朝、日が昇り始めた頃レンはライトの上で目を覚ました。

「ぬぐっ……」

腕を伸ばして、欠伸して。雨を飲んで服を乾かす。昨日、寝ている時に決めたんだ。ミオウを取り返しに行く。ライトには悪いけれど、一人で行くつもりだ。
別に、足手まといなどという理由では無い。逆に必要だ。が、それでは甘えてしまう気がしてレベルも下がって行く気がする。

ステータスなども、前より下がったのではと思う。元々、ステータスなど存在しないのだが。自分の中のステータスだ。

靴を履いて、服も着る。矢を背中に背負い立ち上がった。ライトは、寝た状態のまま飛行しているが心配は無いよな。

置き手紙をレンは書いてライトの上から飛び降りていった。ビュンっと風を切り空を飛ぶ。

「ミオウ……」



ミオウstage

レオウの目の前に、金髪の美少女が笑みを浮かべて立っている。

「あうぅ……えぇぇ……ひぃうあぁ」

レオウは、目に涙を浮かべていた。なんで、なんで、立場が逆じゃない!

「だって、早く死んだほうが楽じゃない?」

レオウは床を這いずり回りミオウの攻撃を避け続けた。

こんなの、ミオウじゃない!

おかしいよ、私のシナリオと違うじゃない!

私のシナリオは、ミオウに私の苦しみを理解してもらって謝罪をして欲しかっただけ。

違う、こんなの望んでない!

「ねぇ、ミオウ……やめて。おっ、お願い、たすけぇてぇ」

顔の前に手をだし守る。ギリッギリっとパイプが引き摺られる音がする。

壁に追い詰められたレオウは手元に武器になるものがないか探した。

すると、短刀が床に落ちていた。

しかし、その距離3メートル。

(飛んだら、いけるかも知れない)

鉄パイプごときに負けるわけないし。

壁に背を貼り付けジリジリと横に移動する。

2.3メートルほど移動すると木箱に道を塞がれる。

そこから方向を変えレオウは走り出した。

ミオウはパイプを振り上げレオウに襲い掛かってくる。

ブンブンっと空気を切る音と共に距離が縮まる。

レオウは飛んだ。

鳥のようではないが、ジャンプしてからスライディングで短刀に手を伸ばした。

(後、3.……2.……1メートル……)

指を目一杯伸ばして、指の骨の関節が外れそうなほど伸ばす。

カタン……

気がつけば、手の下に短刀があった。銀色の刃をランタンの光を反射させオレンジ色に染めている。

ギュッと短刀をレオウは握り立ち上がった。手に力を込めて、怒りを込めて。

ミオウはパイプを縦に振った。それはレオウに当たったものの致命傷にはならず逆に隙を作ってしまった。

レオウはパイプの横をすり抜けミオウの腹部を目指す。

「うぅわぁぁぁぁぁ」

ミオウの横腹から横に短剣を振る。

ブシュッと血が噴き出し、ミオウは驚く。

口をあんぐりと開け、目を見開く。

カタンと手に握られていた鉄パイプが床に落下してその数秒後、ミオウの上半身も床に落下した。

ピクピク、とミオウは動く。

「うわぁ……づっうぅ」

ミオウの腰から下は、ミオウから1メートルほど離れた場所に落ちていた。

その下半身は血を流し、ゴロゴロと転がっている。

「レ"オヴ……グハッ……」

ミオウは血を吐いた。その血は赤黒い塊で。

ミオウは体の下がスースーと涼しいのを感じた。

(そうだ、斬られたんだ)

もう、ミオウは起き上がることが出来なかった。

「ヒィッ、レオウ助け……」

「ミオウ、ごめんなさい。ごめんなさい。私は……助けられ無い!救う方法も分からない。私には修復の力も使えない。だから、ごめんなさい。あと、念のため服をいただきます」

レオウは頭を下げてミオウの服を奪い、走ってどこかへ行ってしまった。

レオウ、何処に行くの?

助けなさいよ、ねぇ、レオウ。

見捨てていくの?私が悪いから?

ミオウは視界が霞んで行くのを感じた。

なんで、服を持っていくの?

遂に、時間切れ______

神様がくれた最後の時間、使い切ってしまったのね。

心臓の中にある命の砂時計が全て落ち切るのを感じた。

「………レン」


レオウは部屋を飛び出し廊下を走っていた。

途中で一つの部屋に飛び込み姿を確認する。

容姿、スタイル、目の色、髪の色、質、身長どれもミオウにソックリだった。

「こっ……これなら、私がミオウになりすませば良いんじゃない?」

レオウは自らの部屋に飛び込み髪をとかし、奪った服を着てミオウに成りすました。

行ける。これなら、行ける。

「これからは、私がミオウ」