ダーク・ファンタジー小説
- Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.287 )
- 日時: 2015/07/20 08:17
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)
「簡単にくたばるかよ」
翠は奥歯をギリッと鳴らし、刀を持ち直した。早く、片付けなければ……。薄汚れた黒い服をパッパ、と払いながらレオウを睨んだ。そして先ほど作った爆弾を取り出し刃の先で巨大化させる。ドゥンドクッン、と少しずつ爆弾は大きくなっていく。
しかし最大にしてしまうと、仲間も吹っ飛んでしまうため中の大きさだ。レオウはこの時間をチャンスだと思い、鎌を手に握り直して両手で棒を持ち、翠に向かって振りかざした。
しかし、その瞬間と爆発する瞬間が同じだった為爆発により体が吹き飛び、攻撃は標的からそれ、斬撃は天井に刺さっていた。
「チッ………困ったな。仕方ない」
レオウはまだ、何かあるのかノソッと床から起き上がり、
「奥の手を使ってやる」
そう言うと、デスソングを歌いカラスを召喚した。黒い何千羽ものカラスがミオウの部屋に集まってくる。
そしてレオウの周りを旋回し始めたかと思うと、レオウの体内何千羽もの鳥が消えていった。スゥッ、とカラスは消えていき、レオウの体の周りには円が作られている。完全に姿を消してしまった。
しかし次の瞬間、レオウは巨大化を始めていた。レオウの体は風船のように膨らんでいく。そして、最終的には天井に頭が届くまでになっていた。
「アハハハハハハ。私は、こうやって力を得ているの」
ドゥクン、ドゥクン……
レオウの心臓が叫んでいた。ギュッと胸を掴み、翠を見つめる。
「私は、長くない。こうやって生きているのも奇跡なんだよ」
レオウは咳き込みながら手を離し、腕を思いっきり振り上げ翠に向かって振り下ろしていた。しかしながら、振り下ろした手の下を見るとただの瓦礫の山になっていた。
「翠!最期の夢なんだ!お前を殺す事が!」
「俺は、故郷に帰らないといけない。仲間が待ってる」
そっかぁ。翠も家族が居るのか。レオウは床に体を倒し、大きく息をする。
「私はね、カラスと契約を結んで……。もし、死んだ時はカラスの餌になるって事になってる。私は死ぬまではカラスを指示できるのに……」
痛む胸を押さえ、もう片方の手を天に向かって伸ばす。しかし、すぐに力が抜けてしまい伸ばす事ができなかった。
翠がレオウの肩を掴み、うつ伏せの状態にさせた。
ドッ
その音は、レオウが最期に聞いた音となった。音の正体はレオウの背中に刀が刺された事だ。刀は貫通しており、血が体の下を流れていった。
「敵は排除する。もし、違う形であっていれば______」
レオウは、どこか碧に似ていた。