ダーク・ファンタジー小説
- Re: ●凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ●『キャラ選挙』 ( No.295 )
- 日時: 2015/07/30 17:25
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)
翠は床に蹲っていた。
「俺は、周りが見えていなかったんだ……。レオウを殺そうとした、物を盗んだ………自分を失っていた」
頭を抱え、床にぶつける。
「俺は、馬鹿だった。こんなの、碧に見せられない。紅にも、碧にも師匠にも会わせる顔がないよ……」
その時、足音が聞こえ、翠は顔をあげていた。
その足音の正体は、王国軍だ。
「だれだ、何故、宮殿にいる」
翠はヨロヨロ、と立ち上がり刀を取り、走り出した。
的に背を向けて。
それは、剣士の恥だったがもう、戦うことが強くなっていた。
「嫌だ、もう…………戦いたくないんだ!」
翠は廊下を走り、中庭へ飛び出す。
しかし、そこは建物の3階だった。
「あっ…………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
翠は気が付かなかったのだ。
そこが3階だということを。
てっきり、1階だと考えていた。
よく、確かめるべきだった。
目の前に、木が見える。
その隣には、尖った柵が設置されている。
「ヤバイ!」
翠は体勢を変え、落下地点を逸らそうとするが、もうすぐそこに柵は迫っていた。
その時、左横から大きな白い塊が飛び出し、翠はその物体に乗せられ、串刺し状態は免れていた。
「翠!大丈夫か!?」
その白い塊の正体は、変幻した颯斗だ。
もう、何もかも翠は嫌になってしまう。
人を傷つけ、物を盗み、助けられ…………
「っ…………俺は、駄目だ」
翠は颯斗に礼を言って、中庭をトボトボ歩き始めた。
足に草が当たり、道が開けられていく。
草むらから虫が飛び出し、頬に張り付いても何も思わない。
もう、すべての感覚が麻痺してしまったのかもしれない。
涙も出ない。
声も、殆ど出なくなってしまっていた。
その時、どこからか優しい声がする。
「翠、もう良いよ。こっちへ来てよ」
その声は、天から届くような美しいものだ。
翠は不思議と、心の中のモヤモヤが消えていくような気がした。
そして、その声を辿っていくと、いつの間にか白い光に体が包まれていた。
体はフワフワと浮いている。
「翠、一つだけ話したいことがあるの」
「何?」
翠は横になった体を起こし、その声に耳を傾ける。
「簡単に人を傷つけてはいけないよ。分かる?人を傷つけるのは、良くないこと。でも、翠は人を傷つけてしまった。躊躇いもなく……ねぇ、今からでも遅くない。謝りに行こう。たとえ、正当防衛だとしても良くないこと」
その声が聞こえなくなると、光は小さくなっていった。
しかし、視界の端にはショートカットの碧髪の少女が写っていた。
「碧……」