ダーク・ファンタジー小説

Re: それではみなさん、お元気で。 ( No.4 )
日時: 2016/02/18 11:12
名前: ライド ◆O40gZ3Dlvk (ID: 49hs5bxt)

『友情ってやつはなかなかに脆いらしかった』

「ははは!こいつ吐きやがった!……なにその目。うざいんだけどっ」

 俺のなにがそいつの気に触れたのか、さっき蹴られた腹をもう一度蹴られる。
 あー、痛い。この暴力もいつまで続くのか。

「ちょっとぉ。翔ばっかずるいってぇ!アタシにもやらせてよぉ」
「ほんと、お前ばっかずるいって」

 お前ら、人を嬲ることをゲームみたいに言いやがって。俺の気持ち考えろっての。
 そう考えながら気づかれないようにケバい女とエセ不良を見る。
 気づかれたらよくわからない理由で殴られるし。

「あーごめんごめん。でもさー、お前らの前にまずは章人(アキヒト)じゃね?」

 そういってクソ金髪は自販機にもたれかかっている章人に視線を送った。
 相変わらず章人は俺の方を見ることなく俺の方に向かってきた。

「みっともねぇ姿だな。空」

 ……俺、なにかしたっけか。

                **

「……こいつも反応しなくなってきたな。面白くねぇ」

 そういって章人はもう一度俺の足を踏む。

「そうだな、んじゃ今日はここら辺にして帰ろうぜ」

 クソ金髪がその言葉を口にすると、俺から離れていった。あいつらからはこのあとどこへ行くかなんてくだらないことが聴こえてくる。
 さすがに毎日毎日一時間以上も殴られ続けるとさすがに堪える。見えないところばかりを殴ってくるので親に言い訳する手間が省けるのはありがたいけど。

 俺はズタボロのカバンの中に散らばった荷物を押し込んで、軋む体をゆっくりと起こし制服についた砂を落とした。