ダーク・ファンタジー小説

Re: ぼくらときみは休戦中[ぼくさい短編・作者の呟き] ( No.11 )
日時: 2015/02/03 23:00
名前: 利府(リフ) (ID: ktFX/uOB)

夕焼けが窓から覗いている。

真っ赤な光はにやにやと笑うこともなく、ただ無表情に。


僕はその自然の明かりの中で、今日までに仕上げなければならない
体験学習のプリントに日程を書いていた。
もうそれも終わりがけで、僕が座っている机の傍らには既に自分の通学カバンが
立て掛けられていたけど。

「あれ、まだ帰ってなかったの?」

突然開いた扉の向こうには、友達がいた。
やけに真っ黒でまるで日に焼けた肌のよう。

彼女は他の机を避けてこちらに向かってきて、僕のカバンを僕の机に乗っけた。

「え、何を」

カバンの下に挟まったプリントを取ろうとすると、くしゃくしゃになった
表面が少しだけ見えた。

僕は思わず立ち上がる。


「な、何するんだよ!このプリントは大事に扱えって先生が」

「自由スケジュールでも別に楽しいじゃん。
 誰にキッチリこの時間に動けって命令できる権利があるのよ?」


そう言われると反論できない。
だいたいこの子は僕の言いたい言葉をすべて読んだかのように、
はっきりと反論を返すのだ。


「それに、…何かな。
 嫌な予感がするの」

「どうして」


「あんたが真面目すぎるからさ、誰でも守ろうとするのが嫌。
 見捨てていいのよ、あんたも冷酷になればいい」

それは無理だ。否、無理な話だ。
だって…


「君に僕もいいとこ見せたいんだよ」


ぽかん、と彼女の口が開く。

…それもつかの間、彼女はげらげらと笑いだした。



「ありがとう。…平治、いい男ね」


「こちらこそ。じゃあ帰ろうか、■■」










ぼくらに赤紙が配られる前日の話