ダーク・ファンタジー小説

Re: ぼくらときみは休戦中[ぼくさい短編・作者の呟き] ( No.16 )
日時: 2015/03/05 22:12
名前: 利府(リフ) (ID: ktFX/uOB)

こちらの参照100突破と本編の参照1600突破を記念して

ぼくさい本編の核心とも言える内容です
勘のいい方にとってはネタバレとも言えますので注意







「遠い国に行きたいの」

私のむすめはそう言って、いい子でいることをやめてしまった。
あおい鳥を見たいとか、たまごを使ったものは食べたくないって。

むすめの家臣が、ある日しんだ。

もう付きあいきれませんと言って、いなくなってしまった。





「遠い国に行きたいの」

むすめは鳥をそだてている。
ころころと、かわいいたまごを生んでいく鳥を。


わたしのいもうとが、ある日ころされた。

ひめいを上げて、いなくなってしまった。





「遠い国に行きたいの」

むすめはいまだにいい子にもどらない。
鳥が大きくなって、りりしいつばさを広げて鳴いていた。


私の夫が、ある日しんだという知らせがあった。

たすけてくれ!と叫んで、いなくなったらしい。






「遠い国に行きたいの」

もらったばかりのあたらしいお城を騎士団長に取り上げられた。

それを見ていたむすめが私に言った。









「わたし、遠い国に行けるの」














私が、ある日死んだ。





鳥のお城
(わたしのみたとりってとりだったのかしら?)