ダーク・ファンタジー小説
- Re: ぼくらときみは休戦中[短編・作者の呟き] ( No.27 )
- 日時: 2015/04/27 23:26
- 名前: 利府(リフ) (ID: ktFX/uOB)
本編が更新できないことにつきましては謝罪する。
一回書いたけど消えたんだ、GWか明日明後日には書くから許して下さい。
本当にすまないと思う!!
というわけでこの物語を贈る。誰に贈るか決まってないけど。
ちょっとハートフルボッコ注意。
「今日は雨だってよ」
婆ちゃんがそう言って、洗濯物を干しに行くのを俺は横目で見ていた。
この辺りは斜面ばかりで、崖崩れなんてしょっちゅうある。
だから、婆ちゃんも洗濯物よりそっちを危惧するべきなのだ。
けど母さんが何度それを言っても婆ちゃんは聞かなくて、こう言う。
『大丈夫、大丈夫。ケイゴの服がびしょ濡れになる方がいやでしょ、あんたも』
婆ちゃんは最近ボケてきたのか、夜中にうろうろと部屋の中を徘徊しだす。
医者からは夢遊病の可能性があるとも言われたが、婆ちゃんは
そんなの忠告とも何とも思っていない。
母さんは痺れを切らして父さんの単身赴任先にしばらく滞在すると言い出し、
昨日新幹線に乗って俺と婆ちゃんのいる集落から出て行った。
うちの家庭の金は、今は亡き爺ちゃんの遺産と父さんの少ない給料でできてる。
つまり俺の子供ぐらいになったら、家族一斉にホームレスって事もあり得るのだ。
「ケイゴ。今日は雨だよ?ショースケくんと遊ぶのはやめときなさいよ」
婆ちゃんは物分かりが悪すぎる。
ショースケは神社の家系で、今日は頼んでたお守りを取りに行くだけなのに。
俺ははぁ、とため息を吐いてから言った。
「すぐ帰ってくるって。食べ物も足りないし、外で買い出ししないと飢え死ぬぞ」
「でも、風も酷いのよ。傘を持って行ってもずぶ濡れになるでしょう」
遂に俺は歯ぎしりをして、静かに怒りを込めて呟いていた。
「そんな心配ばっかりするなら一人暮らししてろ。俺、母さんのとこに行く」
表情を歪ませた婆ちゃんが何かを言ったのを無視して、俺は戸を乱暴に閉めた。
裏道を通って鳥居をくぐる。
ショースケが石畳の道の真ん中に佇んでいるのを見て、俺は思わず傘を握って走った。
あいつは傘もささず、ずぶ濡れでお守りを握りしめて震えていたのだ。
「ショースケ!」
「け、ケイゴ…いつから?」
とりあえず傘を差し出して、ショースケのお守りを握る手を見た。
お守りの布はくしゃくしゃで、中の紙も原形をとどめているかも分からない。
「ケイゴ。裏の坂から来たのか、だから…」
「なんだ?どうしたんだよ?」
「音が聞こえなかったのか。巻き込まれなかったのか…」
「おい、何を言ってんだ!?ショースケ!」
震えがさらに増している。
膝ががくがくと揺れている。
「俺、分かってたのに。
…ごめん、ごめん、ケイゴ…」
ゆっくりと、ショースケの無骨な腕が伸びた。
指で指されたその山の木は、全て折れてしまっていた。
土で溢れて、水たまりに満ちた斜面の中で。
俺の家の無残な姿と、泥だらけの洗濯物と。
肌色のぼやけた婆ちゃんの指が見えていた。
予知夢の余地無
(彼の霊としての断罪は愛しきかの罪人の為に)