ダーク・ファンタジー小説
- Re: ぼくらときみは休戦中[短編・作者の呟き] ( No.28 )
- 日時: 2015/04/29 17:38
- 名前: 利府(リフ) (ID: ktFX/uOB)
今日本編も更新したい!というわけで取り掛かったのに短編にしか出せない作品が
できてしまったようだ!
いやほんとですって、GWにはやりますって。本当に許して下さい。
じゃあ今日はあの「パプリカ」の音楽を担当した平沢先生…
を、鈍器で殴打した某擬態男の曲を作業BGMに。
「ス」めー。
今日は雨で、私は公園の林を見上げてふふんと笑った。
女というものは滑稽で、だからこそ美しく見えるものである。
世間じゃ50過ぎの女が、道行く疲れ切ったサラリーマンを誘惑している、
なんて光景も日常茶飯事。
それを公園の茂みから、私は見ていたのだ。
そしてその女が、ベンチにけばけばしいブランド物のバッグを放り捨てて去るのを。
すぐさま私はその中身から、ある物をとりだした。
それは世の中の成人女性のほとんどが持っているであろうメイクセット。
これを見て私は震え上がった。
これで私は美貌を手に入れられる。
毎日、整った顔立ちの男と会っても笑われることもない。
このために、このために。
私は日本語を話せるようになった。読めるようになった。
幸せになるためならと、美しく生きるためならと!
私の華々しい「人生」がようやく手に入ったのだ。
「やった!やったわ!」
私は舌をぺろぺろと出しながら、嘲るように笑った。
それから、おめかしを施して。
また雨の日。
私は再び林の下で、今度は公園の茂みに隠れた美しい華を演じていた。
すると、横から一人の男がこちらを見て、携帯を取り出していた。
私の美貌に惹かれたらしく、目を見開いて逸らそうともしない。
これが恋よ、と教えてあげたい。
するりと男に近付いて、くすくすと誘うように笑う。
すると、隣から重装備の男がやってきて。
銃で私の身体を打ち抜いた。
何だこれは。
心臓をやられたのか。
脳は無事か?
雨音しか聞こえないぞ。何だ。
私の美貌を恐れたか?
なら面白い。
そう思って、下にある赤い水溜まりを見る。
そこには、私の姿。
あぁ、なんなのかしら。せっかくお化粧したつもりだったのに。
まだ私の身体、前みたいなニシキヘビのままだわ。
価値観という毒
(蛇を蛇と呼ぶのは人間で、人間を人間と呼ぶのは人間だけ)