ダーク・ファンタジー小説
- Re: ぼくらときみは休戦中[短編・作者の呟き] ( No.40 )
- 日時: 2015/06/09 23:08
- 名前: 利府(リフ) (ID: ktFX/uOB)
本編参照2000突破しそうで怖いよぉぉぉぉぉぉおろろろろろろぐろろろろろろろろ
今回も才能なしだよぉぉぉぉぉおろろろrrrrrrrr
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黒い眼帯を付けた綺麗な少女探偵が、見事ヤクザ御用達のドラッグマイスターをひっ捕らえたのは
一週間前の夜だったらしい。
黒服の男が盗聴先のビルでそう言っていたから、多分間違いないんだろう。
「Good evening!
イサキちゃん聞こえますか?あっし現在病院の裏路地あたりだけど」
どこかふざけたように問い掛けてみても、相手のイサキは何も言わなかった。
代わりに苦しい呼吸の音が聞こえてくるので、まさか話せないほど悪化しているのかと
あっしの耳は捉える。
「あー、その、えっと。ごめん、イサキ。帰りに解熱剤も買ってくるから、
製氷剤は大丈夫。決してお前さんが自分で取りに行く真似とかしませんことよー」
『……そこまでする、気力も、ないから…安心して、買い物して来て』
OK、とだけ告げてあっしは電話を切った。
イサキは前述の身体を張った捕縛劇の後、相手の仲間のウイルス攻撃を受けた。
警察が来て何とか押さえたが、病院に送られたイサキの顔はいつもの青白さをなくし
血の様に真っ赤になってしまっていた。
眼帯を騒ぎの中でこっそり捲れば、真っ赤に充血した瞳が能力による情報量を
燃やすように輝いて。
こりゃ、あっしの不手際だ。
それを見て踵を返し、「どこ行くの」というか細い声に「買い物」という一言を返す。
「そう、気を付けて」という声に手をひらひらと振って応えてから部屋を出た。
———買い物に行くくらいならあっしが手術でもしてウイルスを取り出してる。
長い付き合いだからそれくらい分かるはずなんだが、イサキはいつもの名推理を
する気もなかったらしい。
まぁそれも手伝って、運命の神様はあっしの一つの要望を認めてくれた。
———夜の街に、大きな爆発の音が響く。
煙は満天の星空を雲のように消して、夜は今までにない暗黒を人々にもたらした。
カメラを撮る野次馬に、慌てふためく酒に酔った会社員。
「Please step back!」とだけ叫ぶ警備員。
デフォルトのままの着信音がポケットの中から聞こえ、あっしは音源の携帯を取った。
「Hi、どなた?」
『——シンザワサソリ!!』
縋るような声が電話の向こうから聞こえた。
『大丈夫か!?爆発した…げほっ、どこにいる、シンザワサソリ!?』
「無事だってば。ちゃんと解熱剤も買ってくる、爆発の現場には来るな」
瞬間、イサキは突然咳き込みだし、苦しそうに呻き声を響かせた。
「おい!?イサキ、」
看護師の足音が聞こえた直後、つー、つーという聞き慣れた音が響いた。
「…早く戻らなきゃなんない」
足音を立てて爆発現場から去っていく。
財布に残ってたのは日本円に換算して2000円、まぁお粥も含めても足りるだろう。
そして隣で、銃を構えた音がする。
「そこの君、止まりなさい」
その英語の声に止められた足は、一度止まらせてみれば大してそうする事もない、と分かった。
少年院送りだな、と英語で話す警官どもを見て、あっしはくくく、と笑いを溢す。
「あっしはシンザワ。かつてこの世に名を馳せたテロリストの名を襲名した。
お前らが仕組んだテロも、お前らが潰そうとした探偵も、今はあっしのモノなんだ。
USAも戦争も手に掛ける、売国奴はやっぱそういう屑な性格でなくちゃ」
制止の声を無視して歩き出すと、あっしが狙った通りに銃は一斉に暴発した。
丁度後ろのドラッグマイスターの本拠地も二回目の爆発を起こして、
音も血も紛れてくれた。
「Hey、戦争屋共。本場のテロはそうそう味わえないよ、増してや1時間の最高傑作なんて」
回線に30分、工作に10秒、爆発は一晩中。
これはUSAの平和惚気へ贈る目覚ましで、イサキチヅルという探偵への花火である。
先祖はテロによる爆発を芸術と定めたが、あっしはそんなもんじゃない。
あっしを孤児院に入れたアーミーカップルとは違って、あっしの芸術は。
「さーてとイサキ、点滴よりも100倍味は上のお粥でも作るからそれまで楽しみなよ。
こんばんは、イサキちゃんの為の夜が来た!ってな」
人工災害は探究者を愛した
(果たしてハートの花火の存在に気付くのか?)