ダーク・ファンタジー小説
- Re: イルネス・ウンフェルの喝采 【リク募集中!!】 ( No.13 )
- 日時: 2015/03/15 19:59
- 名前: NATU (ID: uW7f4EAv)
〜ユウタside〜
「肺炎が悪化しているから・・・もう、長くはもたないかもしれないね」
半年前のある日。俺は、医師にそう告げられた。
そんなこと、信じられなかった。信じられるわけがなかった。
俺は、人より体が弱いだけ。今回も体調を崩しただけ。
そう思っていたのに。
「・・・あと、どのくらい、もつんですか?」
無意識のうちに俺の口からこんな言葉が出た。
こんなこと、聞きたくなかった。知りたくなかった。
「最悪の場合、2ヶ月、もっても半年・・・ですかね」
半年・・・
俺は、長くても半年しか生きられない。
「ははっ・・・ やりたいこと、なんもできてねーじゃん」
何一つできないで、俺の人生は終わってしまうのだろうか。
普通に学校に行って、勉強して、休み時間は友達と過ごして・・・ サッカーなんてやりたかったな。
ちゃんと3年生になって、後輩も入ってきて、部活も勉強も両立して最後の中学校生活を満喫するんだ。
2月になったら受験だし・・・ 俺はどこの高校に行くんだろう。
誰と一緒なんだろう。ハルと一緒だったら、楽しいんだろうな。
あ、そもそも出席日数的にアウトかな・・・。まあ、俺は頭はそこそこ良いし、どうにでもなるだろう。
高校行ったら、彼女とかほしいな。もう、ハルに告っちゃおうかな。
ハルがOKしてくれたら、毎日、超楽しいじゃん!
それから、デートもたくさんして。それから・・・
ぽろり ひとすじの涙が溢れる。
「あ、れ? 俺、なんで、泣いて・・・」
決して叶うことのない未来を夢見て、俺は泣いた。
「っなんで、何もできねぇんだよっ・・・」
死ぬのは、俺じゃなくてもいいはずなのに。
俺には、光り輝く未来が待っているはずなのに。
————神様は、俺にいじわるだ。
でも、最後の願いくらい、叶えてくれないか?
「・・・ハルと、たくさん笑いたい」
* * *
最後までハルと笑い合いたい。だから俺は、毎日、笑顔でいよう。俺は、そう心に決めた。
だって、半年生きられるかわからないし、いつ死んでしまうかわからない。明日には、いないかもしれない。
でも、死ぬことに怯えて生きていくのは嫌だから。
笑顔で見送られたいから。
俺の余命を知っているのは、一緒に医師の話を聞いていた母さんだけ。
父さんは海外で仕事をしているから、俺が生きているうちに会うことは、もうないだろう。
もちろん、ハルも知らない。俺が自分で言う気もないから、母さんが言わない限り、知ることはない。かえってそのほうがいいかもしれない。どんな顔すればいいかわからないし、ハルに心配かけたくないから・・・。