ダーク・ファンタジー小説

Re: リレーしょーせつ ねぇ、あそばなぃ ( No.56 )
日時: 2015/03/19 19:13
名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)

「渚君……何か思い出した?」

 柴木さんに聞かれて、コクッと頷く。

「何を?」

 また聞かれて、俯く。

 柴木さんにでさえ言えない……。

「うーん、やっぱダメか……今日もマジカルバナナする?」

「え」

「強制参加!マージーカールーバ・ナ・ナ!バナナと言ったら手紙」

 手紙!?

「て、手紙と言ったら切手」

「切手と言ったら亀」

 なぜに亀!?

「えーと、亀と言ったら甲羅」

「甲羅と言ったら赤い」

 甲羅とは赤いものだったか?

「あ、赤いと言ったら……血」

「そっちに飛ぶなー!」

「え?」

 制止するように右手を突き出した柴木さんへ、反射的に抱き着いてしまった。

 ……反射的に『抱き着いてしまった』。

「わわっ、渚君?どうしたの?」

 聞かれても、答えることはできない。

 ただ。

「前に、柴木さんに向かってこうしたことがある……」

「……うん」

 頭上で柴木さんが頷くのが分かった。

「その手を緩められた時、僕のリクエストでまた抱き着いてもらって……」

「その時、僕は何らかの理由で柴木さんを待っていた……」

 思わず呟くと、柴木さんはニカッと笑って、

「やっといいことを思い出したね!……まあ、その後は『アレ』なんだけどね……」

「え……『アレ』って、まさか……」

「思い出すんじゃなーい!」

 柴木さんにデコピンをされて、僕は考えるのをやめた。