ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.1 )
- 日時: 2015/03/10 21:36
- 名前: 裏の傍観者 (ID: IvmJM/UO)
『サメツ こちら 00!敵を目視!敵は日本国防軍!繰り返す、敵は日本国防軍!!』
これを聞いた時、気づいたら小銃の銃口は味方である戦車長に向けられていた。
初めての実戦が、味方を殺す。
理由なんかどうでもいい。
今までの理不尽とストレスの積み重なりが、怒りに変わり、そして殺意に変わっていた。
何が団結だ。
何が絆だ。
何が守りたい人がいるだ。
今の自衛隊は何も守れない。
ましてや、出来たばかりの日本国防軍におされている。
今まで戦争を経験したことのない自衛隊は、容易く国防軍に片付けられている。
なら・・・。
「結美1士!?何をする気だ!!」
国防軍の手伝いをしてやろう。
「見て分からないですか?田辺2曹。」
89式小銃の切り替えレバーを安全装置から単発に切り替える。
弾はすでに薬室に送り込まれている。
あとは引き金を引くだけだ。
「大人しく拳銃を弾帯ごと渡してください。」
慌てて車長は弾帯ごと拳銃を渡してきた。
それを受け取り、肩にかける。
「やめろ、味方を撃てばお前は自衛官ではなく犯罪者になるぞ!」
犯罪者?
笑えてきた。
「こうした地点で、俺はもう・・・自衛官じゃない。」
「よせッ!?」
引き金を容赦なく引いた。
放たれた弾は、銃口から出た乾いた音と同時に車長の頭を貫いた。
「田辺2曹!結美おまえッ!?」
砲手が砲手席から出ようとする。
銃口を砲手に向けて発砲した。
砲手はそれきり動かなくなった。
「あとは貴方だけだ、犀潟士長。」
手榴弾の安全ピンを抜く。
手をレバーから離せば爆発する。
「畜生!!」
操縦手がハッチをあけて脱出しようとする。
操縦席に手榴弾を投げ込んで戦車から降りる。
3秒後に戦車は火だるまとなり、吹き飛んだ。
奪った拳銃を今つけている弾帯に付け替え、弾を装填した。
この時俺は、心から桜が完全に消えた。
これからどうするか。
「・・・・・。」
一先ず国防軍に接触してみよう。
なぜ自衛隊と戦うのか、興味深い。
自衛官としてではなく、一個人として、理由が知りたい。