ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.3 )
- 日時: 2015/04/12 23:27
- 名前: 裏の傍観者 (ID: GlabL33E)
業務を終え、生活隊舎にある部屋に戻った。
そこで私服に着替え、いつも通り外出の準備をする。
自衛隊では、営内者と営外者で分けられていて、営内者は外出するたびに外出申請書という書類を申請しなければ外出できない。
外出するのにそんな面倒なことをする自衛隊と違い、国防軍は身分証さえあればいくらでも外出できる。
門限なんてものは存在しない。
馬鹿みたいに固い自衛隊なんかと比べるまでもない。
平和ボケした自衛隊とは違う。
実戦を経験した国防官は必ずと言っていいほどストレスがたまる。
そのストレスが溜まってしまい、戦闘の士気を少しでも下げまいと考えた国防省は外出を自由にしたらしい。
国防軍に入隊してまだ日が浅い俺は、正直そんなことは関係なかった。
俺の目的は、戦場の中で答えを探すこと。
ただそれだけのことだ。
部屋をでて鍵をかけた俺は、生活隊舎を出る。
「お疲れ様。」
声をかけられ足を止める。
横を振り向くと、そこには同じ中隊の女性国防官が私服で立っていた。
「日暮奈3尉官か。」
すると彼女は頬を膨らます。
「もう、私服では夕美と呼びなさいって言ったじゃない。もう忘れたの?」
「すまん、まだ癖が抜けないんだ。」
「全くよ。・・・自衛官だった時のことを考えてたの?」
「そうかもしれない。」
「どうしようもない男ね。・・・まぁいいわ、少し付き合ってくれないかしら?たまには私の愚痴ぐらい聞いてもいいでしょう?」
彼女がこう誘ってくるときは、2人きりで食事しないかという誘いだ。
夕美と出会ってから、いつもこんな感じだ。
「戦闘では忙しいが、こういう時は常に暇人だ。どこにする?」
「昨日見つけたお店があるの、そこにしましょう。」
国防3等尉官、日暮奈 夕美。
尉官試験を一発で合格した成績優秀国防官で、4カ月前に部隊に配属されたばかりの女性国防官だ。
そして結美中隊の副中隊長でもある。
歳は俺と一緒で、美女であるため中隊では大人気らしい。
クールな性格ではあるが、結構気の強い女だ。
「貴志川から聞いたわ、ミーティング中に寝込んだんですって?」
「あぁ。侘びとして皆にジュースを奢った。」
部下全員に奢ったせいで、軽く数千円は消費した。
「ちゃんと休んでるの?休む時はしっかり休まないと倒れるわよ。今回はミーティング中だったからよかったけど。」
「なんか説教を受けてる感じがするな、次からは気を付ける。」
「別に説教してるわけじゃないわ。・・・心配してるんだから。」
「何か言ったか?」
「なんでもないわよ、早く行きましょう。お腹空いたわ。」
基地の門へ向かい、警衛をしている国防官に身分証を提示する。
「いつもお疲れ様です、結美2尉官。ミーティングでの噂、こっちまで流れてきましたよ。」
「佐竹先士官、その情報は誰からだ?」
なんとなく誰だかわかってきた。
きっと貴志川に違いない。
「貴志川2士官からですよ。あまり無理せず、ゆっくりとお休みください。」
佐竹先士官は敬礼をしてきた。
答礼をすると警衛所から一人顔を出してくる。
「よう結美2尉官。また日暮奈3尉官とデートかい?」
慶田先曹官はそういって敬礼をしてきた。
俺と夕美はそれに対し答礼をする。
「慶田先曹官、ただ食事に行くだけです。」
「それをデートって言うんじゃねぇか。」
そういって彼は笑い出す。
まったく、愉快なおっさんだな。
「結美、毎度言うがお前さんは自衛隊の特殊作戦群では抹消対象にされとるんだ。気をつけろよ。」
慶田先曹官はそういって、俺の脇にあるホルスターに指をさす。
ショルダーホルスターにはシグザウエルP226が入っている。
防衛省で俺は要注意人物と指定されていて、厄介なことに特殊作戦群では抹消対象者に指定されてしまっている。
そのせいか、自衛隊につけ回されるときが多々ある。
国防官は武器の携行を許可されているため、護身用として所持している国防官が多い。
現に夕美も・・・。
「特に日暮奈、お前さんのは流れ弾で民間人にあてないようにな。」
「分かってるわよ。」
手荷物の中に3点射が可能なM93Rを所持している。
「そうかい、んじゃ気を付けて楽しんで来い!後でラブホ行くなら写真よろしく!・・・なんちって。」
「「このエロ先曹官!!」」
2人で慶田先曹官に突っ込みを入れた後、警衛をしている国防官達に見送られて赤羽基地を後にした。