ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.6 )
- 日時: 2015/03/08 18:54
- 名前: 裏の傍観者 (ID: cYeSCNTQ)
現時刻、0600。
目覚まし時計で目が覚めた俺は、いつものように起床して朝飯を食べに行く。
向かう先は赤羽基地の食堂。
1日に3食出る飯はこの食堂で作られ、国防官はここで食事をする。
業務開始が9時なので、起床する時間は人によって違う。
俺みたいに6時に起床するか、ギリギリまで寝て8時に起床するか。
業務開始まで間に合えば何時でもいい。
6時に起床するのは、自衛隊にいたときに嫌でも聞いた起床ラッパのせいだ。
ラッパがならなくても、体内時計が強制的に6時で起床するようになってしまったため、毎日ほとんどが6時起きだ。
「今日の朝飯は・・・と。」
食堂入り口に展示されている今日のメニューを見る。
ご飯・納豆・魚・サラダ・味噌汁・ヨーグルト。
そして・・・卵。
「・・・・・!」
ついその場でガッツポーズをしてしまう。
これさえあれば、卵かけご飯通称「TKG」があれば戦える!
「何ガッツポーズなんかしてるのよ。」
後ろから声をかけられて振り向く。
起きたばかりの夕美だった。
「おはよう、ゆっくり寝れた?」
「お、おう・・・日暮奈3尉官。」
さっきのポーズ、完全に見られてしまった。
「それで、何でガッツポーズなんかしてたの?」
「そりゃ言うまでもねぇよ、玲也はTKGの信者なんだからさ。」
戦闘服姿の貴志川が笑顔で登場。
戦闘服でいるということは、4時くらいに起床して2時間もランニングと筋トレをやっていたに違いない。
「あぁ、納得だわ。」
「遅くなったが、おっす2人とも。」
「おはよう貴志川2等士官。また筋トレか?」
「おう!目指すはボディービルダー!!」
「「気持ち悪ッ!!」」
こいつは筋肉バカの狙撃手といっていいかもしれない。
朝飯を済まし、国防軍では普段着と呼ばれている紺色の作業服を着る。
これは基地内だけでの格好で、戦闘が発生した場合は戦闘服を着る。
自衛隊迷彩と呼ばれるものはなく、単純に市街地戦闘では真っ黒の戦闘服、森林戦では新型迷彩の戦闘服を着る。
ここ最近では、陸自の駐屯地を狙うことが多くほとんどが市街地戦闘だ。
そろそろ森林戦が来てもおかしくはないかもしれない。
支度を済ませ、登庁する。
0900時、業務開始。
「それじゃ、今日も1日頑張ろう。ミーティングはさっき示した時間に行うから、遅れないように。以上、業務開始。」
『オッス!!』
敬礼をした後、皆一斉に仕事に取り掛かった。
「WAPCの修理、昨日4両終わったってよ!」
「まじ?早いな!丁度いい、操縦訓練に回してくれ!」
「へいよ!」
事務室では色々なやり取りが聞こえてくる。
96式装輪装甲車、通称WAPC。
陸自が所持している装甲車だが、国防軍でも所有している。
ただ違う所がいくつかあり、装甲は勿論搭載する重火器も変更された。
12.7mm重機関銃は2つ合体させた2連装12.7mm重機関銃で、同時に国内初の遠隔操作射撃システムを搭載した。そして米軍が使用するジャべリンATGMが積載されている。
自衛隊のものと比べ、国防軍のは本格的な戦闘能力を得た攻撃戦闘装甲車だ。
先の戦闘で、陸自のWAPCと国防軍のWAPCが激突した。
その際、陸自隊員は同じ車両だとなめてかかっていたらしく、隊員を降ろして捕獲しようとしたところを2連装12.7mm重機関銃で粉々にされた。
装甲車本体は、ジャべリンATGMで吹っ飛ばされた。
その後、陸自の10式戦車の120mm滑空砲で攻撃され、当たりはしなかったものの爆風で中破した 。
それがたったの1週間で修理が終わるとは、国防軍の整備大隊は優秀だ。
「結美2尉官、現在の装備一覧表の確認をお願い。」
夕美が中隊で保有している装備の状況をまとめた資料を渡してきた。
「まかせろ。」
「それじゃ、操縦訓練の現場見に行ってくるわね。」
「おう、監督よろしく。」
夕美は戦闘帽をかぶり、現場へ向かった。
さて、渡された資料を確認するか。
この資料には、主に戦闘車両がまとめられていた。
WAPCについては先程偶然聞いたから把握した。
目を通した俺は、確認したことを証明するため印鑑を押した。