ダーク・ファンタジー小説

守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.10 )
日時: 2015/03/09 04:36
名前: 裏の傍観者 (ID: cYeSCNTQ)

1200時、神奈川県 横浜市 国防省。
作戦通り、数十機の輸送ヘリ、チヌークをフル稼働させ人員と車両を輸送する。
作戦会議中に、部下達には使えるWAPC全てを先に国防省に向かわせ、準備させておいた。
大隊のWAPCを全て戦闘に回したことは、今までなかったので今回が初めてになる。
予想では、またいくつか壊しそうだ。
・・・整備大隊には申し訳ない。
<零ー1、こちらブルー8。目標地点に到着、人員をどこに降下させればよいか送れ。>
「ブルー8、こちら零ー1。国防省第3駐車場へ降下させよ、送れ。」
<ブルー8了解。>
上空で待機していたチヌークは第3駐車場へと向かった。
「WAPCの配置、終わりました。正面ゲートに6両です。」
河瀬2曹官はメモをとりながら報告をしてきた。
いつもWAPCの管理は河瀬2曹官が担当している。
「他は?」
「作戦通り、草木を被せて小さな山に。配置は正面ゲートのある南口にゲートにある奴を含めて12両。北口の裏門には8両、東と西に4両ずつ隠して配置してます。」
「国防省の回りはなんで小さな森林で囲まれてるかね。」
国防省は小さな森林で囲まれていて、自衛隊が隠れ放題となっている。
「見た目ってやつじゃないですか?さすがに植物が何一つないと、目に悪いですから。」
「そうなんだけどな。河瀬2曹官、火焔放射機で焦がしてくれないか?」
「それやるくらいなら、自衛隊ごと丸焦げにしたいですな。」
俺はつい笑ってしまう。
それもいいかもしれない。
ただ焼けるだけだし、血を見なくてすむからな。
<トランシーバーから貴方達の嫌な笑いが聞こえてくるわよ、結美2尉官。>
無線から夕美の声が聞こえてきた。
しまった、トランシーバーのPTTスイッチを押しっぱなしにしていた。
さっきの会話も駄々漏れだった。
「貴志川2士官をつかって覗きか?」
<んな訳ないでしょ!?報告よ、狙撃班の配置が完了したわ。>
国防省の屋上を見上げる。
かなり小さいが、屋上に夕美と貴志川がいるのを確認した。
「おう、作戦まで休んでてくれ。狙撃班の指揮は頼むぞ。」
<分かったわ。あ、こっちまで飲み物持ってきてくれないかしら?>
「分かった。」
トランシーバーをポーチに入れた。
こちらの戦力は、第零攻撃戦闘大隊の全中隊のみ。
だが、切り札がある。
いざアパッチを落とさなければいけなくなったとき、ジャべリン対ヘリ迎撃部隊を臨時編成した。
ジャべリンATGMを積載したWAPCや、第5中隊の人員にジャべリンを2人1組に分けて1つずつ持たせて潜伏させている。
これが放たれたとき、アパッチはミサイル祭りできれいに踊ったあと地面に激突することになる。
第1から第4中隊は土嚢を積み重ねて防御陣地を構築させ、そこで敵を足止めする。
第2中隊は北を担当。
俺の中隊は南の正面ゲート、第3中隊は東、第4中隊は西と、4方向に守りを固めた。
第5中隊はジャべリンをもって潜伏中だ。
また、車両が容易く侵入しないよう、WAPCの前方70メートル先には、スクラップにされる予定だったトラックを解体業者から借りてバリケードにしている。
勿論、チヌークで吊り下げて14台持ち出してきた。
解体業者の社長が優しい人でよかった。
あのときの会話をまだ覚えている。
「(いやぁ、これだけあっても解体しきれないんで、正直助かります。)」
「(これを解体するのが、貴殿方の仕事ではないんですか?)」
「(そうなんですけどね。実はこの車両、震災でつぶれてるんですよ。売れるパーツもなくて、正直どうしようかって考えててね。)」
商品にならないから持ってってもいいといってくれた社長さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
後でお礼にでもいかないとな。
「兄さん、救急搬送用のヘリを、第4駐車場に配置しました。もう1機は屋上に。」
華目3曹官はそういって屋上に指を指す。
ここからだとチヌークのローターしか見えない。
「了解、これで俺の中隊は準備完了だな。」
あとは他の中隊が完了するのは待つだけだ。