ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.12 )
- 日時: 2015/03/08 21:27
- 名前: 裏の傍観者 (ID: mvR3Twya)
1410時、神奈川県 横浜市 国防省。
全ての防御陣地の構築が終わり、あとは自衛隊が攻めてくるのを待っている。
皆急ピッチで防御陣地を構築したせいか、疲れて仮眠をとっている。
「貴方も仮眠とらないの?」
心配そうな顔をした夕美は飲み物を差し出してくれた。
それを受け取る。
「ありがとう。俺は大丈夫だ、今回は皆に動いてもらうから、手の空いた国防官から休ませている。」
「そう。」
夕美は俺の隣に座った。
操作しているパソコンには、空軍から送られてくる情報が常に更新されている。
つい先程までは、海老名サービスエリアで止まっていたが、30分前に動き出した。
アパッチは練馬駐屯地のグラウンドで待機している。
「どんな感じなの?」
「30分前に海老名サービスエリアを出た。あと1時間半でこっちに来るだろう。仮眠をとる前に、個人火器に弾を装填するよう伝えておいたから準備は万全だ。」
「そう。」
気づけば夕美は眠そうな顔をしていた。
彼女まで倒れてもらっては困る。
「お前も寝ておけ。」
「大丈夫よ・・・。」
「いいから。」
彼女に膝枕で寝かせる。
「むぅ、これも癖なの?」
「心配しているんだ。ゆっくり休め、何かあればすぐに起こす。」
「ん、ありがとう・・・。」
彼女は眠りに落ちた。
再びパソコンに向き合う。
未だに市民は避難していない。
国防軍が押し掛けた時は皆不安そうな顔でこっちを見ていた。
中にはマスコミがこっちにカメラを向けて何かを報道している。
国民に被害がでなければいいが・・・。
1時間後・・・。
事態は大きく動いた。
横浜市内に、大きな爆発音がした後、避難警告のサイレンが一斉に鳴り出したのだ。
「皆を起こせ、すぐに戦闘態勢がとれるよう持ち場に向かえ!やつらが来るぞ!」
<結美!何があった!>
国防省の長官室で待機していた相模1佐官が無線で連絡してきた。
「ヤジさん、今横浜市内で爆発音の後に避難警告のサイレンが一斉に鳴った!恐らく、あの爆発音は国防軍が攻撃をしたと国民に認識させて国民を味方につける作戦だ、奴等に踊らされたらしい!」
大きな爆発音も、自衛隊の仕業だ。
貴志川が屋上で確認したところ、爆発音がした後に煙が上がったらしい。
発生源は、国防省の正面ゲートからみて2時方向、約1キロメートル。
もうそこまで近づいてきたか。
<こっちでも確認した、だが今テレビで自衛隊が国民を救出していると報道されているぞ。>
やられた、国防軍を悪者扱いする気だ。
「それは後だ、今の状況に対処する!」
無線を大隊のチャンネルに切り替える。
「バリアー、こちら零ーHQ!状況を開始する。ただし、事情により発砲は攻撃を受けてからとする!民間人が残っている可能性がある、目撃したら報告しただちに攻撃を中止せよ送れ!」
<零ー1りょ!>
<零ー3了解!>
<零ー4了解!>
<零ー5ラジャー!>
「夕美!狙撃班スタンバイだ!」
<了解!狙撃手、指定された方向を警戒。射撃用意!>
「河瀬2曹官、来るぞ!」
「よし!結美中隊、射撃用意!!」
部下は一斉に89式小銃2型の貢幹を引き、弾を薬室に送り込んだ。
国防省へは、一歩も入れさせない。
そしてついに・・・、自衛隊車両がスクラップされるトラックに突っ込みバリケードを破った。
その後にWAPCが数両侵入し、後部から自衛官が発砲しながら出てきた。
「各自、発砲!片付けろ!」
そう指示すると、夕美が射撃号令を出す。
<敵確認!ッてぇ!!>
一斉に銃声が鳴り響く。
<零ーW1、射撃開始!!>
正面ゲートで配置していたWAPCからも、2連装12.7mm重機関銃が自衛隊のWAPCに向けられて発砲された。