ダーク・ファンタジー小説

守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.13 )
日時: 2015/03/08 22:36
名前: 裏の傍観者 (ID: mvR3Twya)

2連装12.7mm重機関銃から放たれた50口径の弾は、自衛隊の装甲車に連続で当たる。
大量の弾を浴びた装甲車は、エンジンに当たったのかその場で吹っ飛んだ。
大きな爆発音とともに、焼けた車体から黒煙が上がる。
自衛隊の装甲車からも12.7mm重機関銃が放たれ、その銃弾は国防軍の装甲高機動車に当たる。
容易く貫通した車両は、その場で爆発する。
<装甲高機動車1両大破!負傷者5名!>
早速負傷者を出してしまった。
「すぐに手当てさせろ!重傷者はヘリに!」
衛生小隊が負傷者をヘリまで運ぶ。
自衛隊も本気ということか。
キャリバー50と呼ばれる12.7mm重機関銃で実弾を撃つ所を始めてみた。
普段は滅多に使われていない。
使われたとしても、空砲装置を取り付けて射撃をするくらいだ。
他の中隊からも、攻撃を盛大に受けていると報告してきた。
WAPCだけじゃ少し厳しいかもしれない。
こっちの戦力は、装甲車と歩兵、そして救助用のチヌークだけだ。
<結美2尉官、11時の方向にヤバいヘリのお出ましよ。>
「もうアパッチが来たか!」
小さくて見辛いが、確かにアパッチだ。
奴等は攻撃のタイミングをうかがっているのか、その場から動かない。
武装はやはり、チェーンガンとヘルファイヤ、そしてAIMー9か。
<玲也!さらに追加だ!6時の方向にヘリ、ブラックホーク!>
貴志川の焦りが分かるほど声が大きい報告だった。
「ブラックホーク?」
なぜブラックホークが飛んでいる?
ふと慶田千曹官の言葉を思い出す。
「(気を付けろよ、お前さんは特戦群に抹消対象者に指定されとるんだ。)」
「特戦群か?」
だとしたらまずい、全方向から攻め込まれている。
これでは袋のネズミだ。
<零ーW5!遠隔操作射撃システム及び装輪2ヶ所破損!戦闘続行不能!>
ついにWAPCがやられてしまった。
「零ーW5は下車戦闘用意!装甲車を盾に使え、ジャべリンをやられるな!」
<了解!>
未だに市民は避難が完了していない。
それに攻めてきているのは本隊ではなく斥候だ。
本隊は今ごろ市民の避難誘導をしているだろう。
そいつらが攻めてきたらさらに状況は悪化する。
「がぁッ!?」
隣にいた河瀬2曹官が銃弾を受けてその場に倒れた。
「河瀬2曹官!」
撃たれた所は右肩だ。
かすっただけだが、念の為下がらせる。
89式小銃2型を手にして構える。
照準を自衛官に狙いを定めて発砲する。
3点射を浴びた自衛官はその場に倒れた。
「俺が直接指揮をとる!賀沢千士官、機関銃をこの方向に向けて撃て!」
「はい!」
彼は指示した方向に弾をまく。
「零ーW1から4!正面ゲートの中まで後退、84mm無反動砲で攻撃!」
<了解!!>
WAPCから人員が降り、バリケードの前に集まっている自衛官をトラックもろとも84mm無反動砲で容赦なく攻撃する。
爆風により数人の自衛官が飛んだ。
「お見事です兄さん!」
華目3曹官が射撃しながら誉めてきた。
「俺は指示を出しただけだ、誉めるならWAPCの乗員を誉めてやれ!」
全く、どんなに撃ち倒しても自衛官の数は減らない。
おそらく本隊から増援がきているのかもしれない。
「味方だと頼りないのに、敵に回ると面倒だな!」