ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.18 )
- 日時: 2015/03/13 09:16
- 名前: 裏の傍観者 (ID: k67I83SS)
アパッチがついに動き出した。
だが、未だに奴等は攻撃してこない。
多分、攻撃準備に入ったのだろうか。
「・・・貴志川2士官。」
「どうした?」
「ヘリを墜落させず、故障させるにはどうしたらいい?」
撃墜はしなくても、故障だとパイロットが判断したら引き返すはずだ。
米軍のヘリパイロットみたいなやつでなければの話だが。
「ヘリは詳しく知っちゃいないが、エンジンを片方潰してみるか?」
「・・・墜落したらどうする?」
「したら責任取れんわ。パイロットを直接やるか?」
パイロット?
確かアパッチは複座式だった。
前部座席はガンナーで、後部座席がドライバー。
攻撃をするのはガンナー。
そいつをやれば行けるかもしれない。
「それだ!貴志川、夕美を連れてきてくれ。狙撃位置を変える。」
「ヘリパイロットを直接か、面白い!」
だが問題がある。
貴志川が使用している狙撃銃は7.62mm弾を発射するM24。
自衛隊でも対人狙撃銃として使われ続けている狙撃銃だ。
問題は口径。
7.62mm弾でパイロットを覆っているキャノピーを貫通させることができるか。
恐らく無理だろう。
50口径でなければ難しい。
だが、こちらが持っているなかで唯一その弾を撃ち出せるのが2連装12.7mm重機関銃のみだ。
下手に連射して機体ごとズタズタにしてしまえば墜落してしまう。
危険性が高いが、今の状況ではやはりエンジンを狙うしかないのか。
考え込んでいたら貴志川と夕美が二人して大きな荷物を持ってきた。
「何だそれは?」
「庁内の展示室にあったものよ。弾も数発だけど持ってきたわ。」
「見て驚くなよ!」
貴志川のテンションが高い。
夕美が大きい袋を開けると、中から銃身を取り出す。
「銃身?」
そしてそいつの正体が明らかになる。
「フランス軍御用達のへカートⅡだ!」
「まじか!?」
フランス軍で使用されている対物ライフル。
NATO基準の重機関銃弾薬を発射する、ボルトアクション対物ライフルだ。
弾倉を確認する。
確かに少ないが、こいつなら2連装12.7mm重機関銃の弾で代用できる。
「にしてもすげぇな!まさか庁内にあるなんてよ。」
「全くよ、お陰で重かったし手が痛いわ。」
「良くやってくれた、後でマッサージでもしてやる。」
へカートⅡを装甲高機動車に積載する。
「あら、女の肌をただで触るつもり?」
「なんだ日暮奈、今日はやけに色っぽいな!」
「おかしいわねぇ、何か聞こえたんだけど、この口かしらぁ?」
「いでててててっ痛ぇよ!?」
全く、こんな状況でも夕美と貴志川は変わらないな。
一先ず移動だ。
夕美と貴志川が乗車する。
運転席に座り、エンジンを始動させる。
「玲也の運転なんて久しぶりだな。」
「そうね。でも今は状況中、派手に飛ばすみたいよ。」
「その通りだ、捕まってろ!」
アクセル全開。
後輪が滑ると暫くして前へ進む。
全速力で狙撃位置へと向かった。