ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.22 )
- 日時: 2015/03/15 09:52
- 名前: 裏の傍観者 (ID: nnuqNgn3)
1600時、正面ゲート。
国防省から離れた所に、連続して鳴り響く爆発音と、黒煙が空に舞い上がっていた。
その前は、アパッチが機材の破損と人員負傷の報告をしてきて後退した。
場所は特定できず、狙撃を受けたらしい。
国防省の守りが完全武装のWAPCと必死な国防官でかなり頑丈だった。
一度は西から攻めようと前進したが、そこにも偽装したWAPCからの待ち伏せで、正面ゲートを突破するしかなくなった。
アパッチが攻撃をしてくれれば一発だが、未だに住民の避難が終わっていないらしく、下手に攻撃出来ないらしい。
俺の隣には、小銃を連射する波森と弾倉を交換する吉川がいる。
未だに結美を発見できず、波森は苛立ちを大きくする一方だ。
「糞が!連中、防弾チョッキが固すぎるぞ!」
波森はそういいながら撃ち尽くした弾倉を交換する。
「あいつらが着けてるのは防弾チョッキ3型の改良型だ、手足を撃てば足止めにはなる!」
吉川が単発で発砲すると、見事国防官の腕に命中した。
撃たれた国防官は、数人の国防官に囲まれ援護射撃を受けながら後退した。
「国防軍の連中、相当な訓練を受けたな。負傷者の回収も素早い。」
吉川が国防官を誉めながら笑う。
「何がおかしいんだよ吉川。」
こんな状況なのに、よく笑っていられる。
でも確かに吉川の言う通りだ。
自衛隊でののんびりとした訓練を受けた俺たちと違い、向こうは実戦といっていいほどの訓練を受けている。
彼らが訓練で使用している弾はゴム弾。
それを躊躇いなく撃ち合う奴等は、本当にいかなるときでも躊躇いなく人を撃てる訓練をしてきただろう。
テレビの番組で国防軍の訓練風景が放送されていた事があり、俺はたまたまそれを見ていたから知っている。
結美もあれから平気で人を撃てるようになったのも、その訓練のせいかもしれない。
小銃を構え、バリケードに隠れる国防官に発砲する。
その弾は当たることなく終わり、反撃を受ける。
撃っては撃たれるの繰り返しだ。
すると、携帯無線機から大隊の呼び出しが鳴った。
<イシガキ、こちら00。放送連絡、住民の避難が完了!これより、航空機による対地攻撃を実施する。地上で戦闘中の隊員は誤射に注意されたい、終わり。>
「アパッチが動くぞ!!」
味方に伝令し、誤射を受けないよう態勢を取り直す。
上空ではアパッチが国防省に急接近する。
この戦闘、こっちの勝利だ。