ダーク・ファンタジー小説

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.47 )
日時: 2015/03/28 16:53
名前: 裏の傍観者 (ID: mNUslh/H)

1820時、結美家。

<分かった。まぁ今は業務外だ。実家でゆっくりすればいい。明日は予定通り相馬原で陸将と会談だ。警護、しっかり頼むぞ。>
「了解、貴志川にしばらく頼むと伝えてくれ。」
スマートフォンを耳から離し、通話を切る。
恐らくだが、通話中もヤジさんはまた食い散らかしているだろう。
電話の向こうから、やたらと皿が移動する音がした。
全く、食いしん坊なヤジさんだ。
夕美は今いる俺の部屋に置いてあるベッドで寝ている。
陸自の施設にいたから、緊張が解けなかったのだろう。
机に拳銃を置き、椅子に座る。
机には
高校時代仲良くしていた友人達との集合写真があり、隣には自衛官候補生を卒業した時の同期との写真が置いてある。
高校時代はろくなことがなかったが、あれはあれでいい思い出だったのかもしれない。
今頃、同級生はどうしているだろうか。
自衛官候補生だったころの同期はどうしているのだろう。
昔に戻りたくなる気分だった。
「・・・玲也、ひどい顔してるわよ。」
夕美が目を覚ましたようだ。
「ひどいって、どんな感じだ?」
「今にも泣きそうな顔だったわ。」
俺は夕美の隣に座る。
「そうか。」
「会いに行かないの?そんな顔するくらいなら、会いに行けばいいじゃない。」
「無理だよ。昔いじめられていてな、今じゃ人殺しだ。会ったらきっと怖がられるだろう。」
小学時代の俺は弱かった。
それを知っていて、同級生だった奴は俺をいじめていた。
中学時代もそれがエスカレートして、差別も受けていた。
思い出すだけでも腹が立つが、今そんなことで腹立てても仕方ない。
ただの民間人ごときに、腹を立てるような国防官ではないからな。
「玲也、甘えていい?」
「いいよ。どう甘えたい?」
「普通そんな事聞かないわよ、バカ。」
夕美は俺の方に頭を乗せた。
「まるで恋人だな。」
「私はそのつもりよ。玲也を想ってなかったら、こんなことしないわ。」
「…あれから4か月か、あっという間だったな。」
「そうね。とても嬉しかった。・・・両親もいない私には何もなかったけど、あの時玲也が何もない私に大切なものをくれたわ。」
あの時言っていた居場所か。
「本当に、ありがと。」
「どういたしまして。」
すると、部屋の扉から階段を駆け上がる足音がする。
気になった俺は警戒し、机に置いた拳銃を手にする。
「夕美、背中に隠れてろ。」
「えぇ。」
まさか実家にまで攻めてきたか?
弾を薬室に送り、いつでも撃てるようにした。
そして、扉は勢いよく開けられた。
『結美君!!』
入ってきたのは陸自ではなく、一般人だった。
しかも・・・高校時代の同級生だ。
手にしていた拳銃を机に置いた。
「・・・はぁ。」
俺はあきれてしまった。
誰の許しを得て勝手に部屋に上がってきたんだか。
「あ、あれ・・・?」
同級生である藍那が俺の背後に隠れている夕美をみて混乱している。
「もしかして、俺たち・・・邪魔したか?」
「結美君・・・彼女はだれなの?」
しかも集団で来やがった。
「玲也?この人達・・・。」
「・・・高校時代の同級生だ。二度と会うことはないと思っていたが、まさかそっちから来るとはな。」
俺は立ち上がり、夕美に手を差し伸べる。
夕美は俺の手取り、立ち上がった。
「んで、俺に何のようだ?」
「用って、心配したんだよ!?自衛隊やめたって聞いて、ニュース見たら結美君がいて、しかも怪我してたから!」
あの戦いが、早くもニュースになっていたか。
これだからマスコミはうるさい。
「怪我なら大丈夫だ。・・・それよりなんで集団で来た?」
「連絡取れてなかったから聞いてないかもしれないけどよ、今日同窓会なんだよ。けど1時間前に今野から連絡がきてな、結美が彼女と歩いているのをみたって電話してきたんだ。」
和義が電話を俺に見せる。
いつの間にか写真を撮られていたのか、夕美と歩いているところをしっかりと撮影されていた。
「同窓会参加しようぜ!彼女も一緒でいいからさ!」
こりゃ参加しなきゃうるさそうだ。
仕方ない、行ってやるか。
「夕美、同窓会に仕方なく参加するが、お前も来るか?」
「え、いいの?私なんかが行って・・・。」
「こいつらが言うには、夕美も来ていいとさ。」
「そうね、いいわ、私も行く。」
「すまんな。・・・」
「気にしないで、玲也についていくわ。」
本当に、今回ばかりは夕美に感謝したい。
「彼女できたんだね。」
「こりゃあ、志波崎が聞いたら泣くぜ・・・。」
「黙っていれば好き勝手言ってくれるな、俺は何とも思っていないからな。」
「・・・結美君。」
「車出すからまってろ。夕美、誘導頼めるか?」
「任せて。」
全く、なんでこんなことになるんだか・・・。