ダーク・ファンタジー小説

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.48 )
日時: 2015/04/06 10:20
名前: 裏の傍観者 (ID: 0REM8nye)

1900時、赤羽基地 第1中隊事務室。

「これが・・・広域多目的無線機か。」
「車両用と携帯用の2種類ある無線機ですが、見るからにスマートフォンですよね。」
「そうだな。しっかし、世の中どころか戦争まで便利になったもんだなぁ。」
今この場にいるのは警衛を下番したばかりの俺、慶田先曹官と華目3曹官。
そして怪我人の河瀬2曹官と通信曹官の魅標3曹官の4人だ。
今何をしているかというと、今回新たに支給された無線機の開封をしていたところだ。
玲兄さん達が不在のため、休養期間中にある結美中隊だが、今後の事を考えるとじっとしていられず仕事をしている。
支給された無線機は、自衛隊で最近使われ始めた無線機で広域多目的無線機と呼ばれるものだ。
操作方法はスマートフォンみたいな端末にある画面をタッチすることで操作できる。
GPSを使って現在地を知ることができれば、同じ無線機を搭載している車両または人員の位置を地図に表示することもできる。
それだけではない、無線機本来の操作もできるし、進行ルートや敵情勢をオーバーレイに記入し、メールの送信で味方に共有すること等ができる最新技術の代物だ。
自衛隊で使われているものが、どうしてこうも簡単にこっちに流れてくるのだろうか。
「魅標3曹官、これはどこからだ?」
つい気になってしまう。
「埼玉補給基地から送られてきました。上からは85式無線機や新野外無線機だとそろそろ近代戦闘に追い付けないだろうって言われて渡ってきたらしいですよ。」
「俺的にはまだ新野外無線機で行けたんだがな。操作楽だし。」
「確かにそうですね、最新技術になっていくとどうも難しくなります。」
今の世代にはついていけないと思い始めた俺はもう歳なのかもしれない。
魅標3曹官はそういって広域多目的無線機、通称「広多無」の電源を入れる。
すると、送受信機と受信機、中継機の3つから一斉にパソコンのファンの音がする。
「もう野外パソコンでいいだろ・・・。」
河瀬2曹官がそういって自動的についた端末の画面を見る。
気になって画面を覗いてみると、それは本当にスマートフォンみたいだった。
「タッチペンもついているんですね。」
華目3曹官が端末の横についていたタッチペンを手にする。
魅標3曹官の指示で華目3曹官はログイン画面でパスワードを打ち込み、指示された通りシステムを立ち上げた。
「言い忘れていました。広多無は電気をものすごく消費するらしいんです。そのせいで、車両のバッテリーが急激に低下するらしく、自衛隊では車両のエンジンをかけて充電運転をするらしいいですよ。」
「なんだ、ハイテクなのに面倒なやつだな。」
「河瀬2曹官、今回この無線機はWAPCに積載する予定です。」
華目3曹官は段ボールから無線機を固定するための架台を取り出した。
「面倒くさそうだが、近代化のためなら仕方ないな。」
河瀬2曹官はそういって棚から車両管理ファイルを取りだし、ページを開くと積載する車両になにかをメモした。
「アンテナも変わります。新野外までは細長いアンテナでしたが、今回の無線機はアンテナが太くなっていて、その横にGPSが取り付けられています。上下車行動するときは、GPSを潰して壊さないようお願いします。」
魅標3曹官はアンテナをみんなに見せたあと、GPSがついている場所は直ぐに気づいた。
根本にある台の上にGPSがつけられる小さな台がついている。
その上に黒の小さな物体が取り付けられていた。
この黒い物体がGPSだ。
「高性能なのはいいが、その分故障率は高いだろうな。」
河瀬2曹官の言う通りかもしれない。
それに、操作もパソコン並に難しいはずだ。
きっと訳の分からないプログラムなどが出てきそうだ。
「自衛隊もなんでいちいち面倒な兵器や通信機なんかを使い続けるんだか。」
つい口が開いてしまった。
元自衛官のあいつなら、何か分かるだろうな?