ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.49 )
- 日時: 2015/04/06 11:34
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 0REM8nye)
同時刻、赤津高等学校。
腕を負傷している俺の代わりに、夕美が運転をしてくた。
校門を通過したとき、この学校に通っていた時の事を思い出す。
3年間、自転車で通い続けていた。
登下校中に、色々な景色を眺め、耳にイヤホンをつけて音楽を聴きながら通っていた。
今はもう出来ない。
学校は卒業しているし、通うこともない。
当然、昔までやっていた自転車通学も二度と体験することはない。
車が後退し、整頓が終わる。
「玲也、ついたわよ。・・・なにボケっとしてるの。」
「昔を思い出しただけさ。ありがとな。」
「そう。あまり無理しないでね、怪我人なんだから。」
夕美はエンジンを停止させ、引き抜いた鍵を俺に渡してきた。
「鍵は夕美が持っててくれ。」
「分かったわ。さぁ、お客さんも到着したわよ。」
俺の車に乗り合せていた藍那と和議は夕美に礼を言った。
他の奴等は、自分の車に乗ってきたというのでそのまま俺たちの後に続いた。
藍那と和議は免許は持っているものの、車は持っていないので仕方なく俺の車に乗せた。
「ありがとうございました。えっと・・・。」
藍那は夕美をどう呼べばいいか迷っているようだ。
「日暮奈でいいわ。」
「はい、日暮奈さん。」
「あざっす!」
「どういたしまして、怪我はないわね?安全運転を心掛けてるけど、運転荒い方だから。」
「そんなことないです、かなり上手でしたよ。」
「そう。」
車から降り、会場である懐かしの教室に向かった。
校舎の玄関は解放されていて、看板には・・・。
『卒業生同窓会〜そして結美君おかえりなさい☆』
と、俺を歓迎する文が書かれていた。
「・・・俺、学校でこんなに目立ってたか?」
視線を藍那に向けた。
「気づいてないかもしれないけど、自衛隊になるって言ったのは結美君だけだよ。真面目だったし、クラス委員長だったでしょ?」
「やらされただけだがな。」
後ろでは夕美がなぜか笑っていた。
「夕美?」
「羨ましいわ、仕事でも人気だけど昔から人気者だったのね。」
そういえば、本人がいうには夕美は昔からずっと一人だったらしい。
両親は突然姿を消し、知り合いの叔父に引き取られ、一人でも生きていける力が欲しくて、国防軍に入隊した。
面接でそう答えていたと相模1佐官から聞いたことがある。
彼女からしていれば、確かにそれは羨ましいことなんだろう。
だが彼女はもう一人ではない。
地元では人気だったらしいし、何よりも国防官達の間では結婚したいランキングNo.1らしい。
それに、俺達結美中隊の仲間で家族だしな。
「夕美こそ、地元や仕事でも人気じゃないか。結婚したいランキングNo.1だそうだが?」
「ちょっと、それどこの情報よ!?そんなの聞いてないわ!」
「そりゃそうだろ、男の中だけの話だぞ。」
つい俺は笑ってしまう。
「あの、楽しい所悪いんだけどそろそろ始まるよ?」
藍那がそういって教室の入り口で足を止めた。
教室から、奴等の笑い声が聞こえてくる。
どうやら、俺達で最後らしい。
「藍那は予定通り司会頼む。俺は合図で扉開けて結美と日暮奈さんを入場させるぜ。」
「うん、お願いね。」
なんだ、そんなことまで企画されていたのか。
「そういえば仕事の格好のまま来てしまったな。」
「忘れてたわ!せっかく着替え持ってきてたのに・・・。」
確かに国防軍の戦闘服を着たままで、装具もつけっぱなしにしていた。
「まぁ、仕方ないさ。仕事終わってからまだ間もなかったし。何よりも、夕美のクールさが強調されていいじゃないか。」
「私は可愛らしい服が好きなの。」
「楽しみにしてる。」
「もう、恥ずかしいわよ・・・。」
さて、教室の中はどんな状況だろうか。
急に静かになり、藍奈の声が聞こえてきた。
<皆、忙しいなか集まってくれてありがとう。今日は楽しい同窓会にしようね。昔みたいに皆と話せるのは、この同窓会だけだから。・・・さて、皆もう知ってると思うけど、私たちよりもっと忙しい人が来てくれました。なんと、彼女さんまで連れてきちゃいました☆>
なんてことを・・・!
「おい和議。」
「怒るなって、実際そのようなものだろう?いいじゃねぇか。」
「全く・・・。」
呆れすぎて笑えてきた。
まぁ、実際そうだ。
気づけば夕美とは自然に親密な関係になっているし、夕美本人もその自覚はある。
「けどなんか恥ずかしいわね・・・。」
「俺もだよ。」
<さぁ、では紹介するね。和議!>
「へいよ!」
和議はそういって教室の扉を開く。
「入ってくれ、皆お待ちかねだぜ。」
「分かった。」
服装を正して教室にゆっくりと入る。
そこには・・・本当に昔と変わらずの皆がいた。
『結美君おかえり!!』
「相変わらずだな、お前らは。」
「本当に自衛隊やめて国防官になったんだな!」
棚崎がそういって写真を撮った。
そういやこいつ、カメラマンになったんだっけか。
すると、前に懐かしい人物が出てきた。
志波崎 花菜。
昔1年だけ付き合っていた元彼女だ。
あれからますます美人になったな。
「玲也、本当におかえり。」
「ただいま。・・・にしてもまた美人になったのか、彼氏できたか。」
「花菜は彼氏持ちだよ〜。」
横上が自慢するかのように言ってきた。
「そうか。」
「・・・玲也も、彼女・・・できたの?」
「俺か?まぁ、そうだな。」
『まじか!?』
「うるさいなお前ら!?」
さっきからうるさいくらい反応してくる。
昔からだけどな。
花菜は何やら寂しそうな顔をしていた。
「そんな顔するなよ、彼氏いるんだろ?なら、そんな顔をする必要はない。仲良くしろよ。」
「・・・うん。」
「それじゃ、噂の彼女さんを紹介!」
藍奈は廊下で待機している夕美を入れるよう、和議に指示した。
夕美は恥ずかしさを隠して教室に入った。
もちろん、皆の反応は・・・。
『おおおおおおおおおっ!?』
うるさい。
うるさいとしか言いようがない。
「夕美、こっちだ。」
「え、えぇ。」
夕美を俺の隣に案内する。
「さて、彼女を結美君の口から紹介してもらいます!」
藍奈はぶっとんだ事を言ってきた。
「俺はそんなことを一度も聞かされていないが!?」
「え、紹介しちゃっていいの?」
「・・・いや、俺から言う。」
夕美を教壇に立たせ、夕美の隣で直接紹介する。
「・・・紹介する。日暮奈 夕美、俺と同じ職場で4ヶ月前に会ってから仲良くしてる。仕事でも一緒で、外出してるときはよく一緒に飯とか食いにいってる。」
「え、そこまで言うの!?」
「ん?駄目だったか?」
「そうじゃないわ、ただ・・・恥ずかしいだけで・・・。」
ついに夕美はその場で恥ずかしさを表に出してしまった。
本人に言ったら恐らくこの場で殺されるので、恥ずかしがっている姿も可愛いということは伏せておく。
「すごく美人だな!」
棚崎はそういって自慢の一眼レフで連写した。
まるでモデルの撮影をしているかのように。
花菜も驚いたみたいだ。
「スタイル抜群じゃない!?結美にはほんと勿体ない!」
「彼氏歴なしの横上には言われたくないな。」
「いいもん!出来るもん!」
まったく、このギャル女は・・・。