ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.56 )
- 日時: 2015/05/12 22:13
- 名前: 裏の傍観者 (ID: KBFVK1Mo)
隊長室。
「・・・ところで相模1佐官。」
「なんでしょう?」
世名津陸将はソファーに座り、俺と向き合う。
何やら寂しそうな顔をしていた。
「結美2尉官に付き添っていた彼女だが・・・。」
「日暮奈3尉官が何か?」
「・・・彼女はそっちでも元気かね。」
いきなりの事で理解できなかった。
なぜそんな事を聞くのだろうか。
「いきなりですな。日暮奈3尉官は幼い時に両親を失い1人だったと聞いてますが。」
たしかそのはず。
面接でも本人から直接耳にしているし、身元調査でもはっきりとその記録が残っている。
「確かに彼女は両親をなくしている。・・・私は日暮奈3尉官の父の同期なのだ。」
「なんだと!?自衛官の娘だというんですか?」
あり得ない、父が自衛官だった記録はないはずだ。
「自衛官じゃない、元警察官だった、それも特殊部隊の方だ。」
「SAT・・・。」
「記録にないのは確かだ。だが元々記録にはあった、彼女が何らかの方法で消すまでは。」
「消した?それはいつの話です?」
「高校3年の時だろうか。丁度国防官の正式募集が始まった頃だ。」
なるほど、その歳になれば記録を抹消させる行動に出れる。
高校3年までは、世名津陸将と同じ地元で過ごしていた事になる。
「それと今にどんな関係が?」
「記録が抹消されてから、彼女は姿を消した。話によれば群馬に移住し、1人暮らしでありながらも健やかに育っていったと聞いた。・・・だが4か月前、彼女が国防軍に入隊したのを初めて知った私は、日暮奈の墓に行きづらくなった。」
4か月前、練馬前線のことだ。
「それじゃ日暮奈3尉官は貴方の事を?」
「いや、知らないはずだ。日暮奈が殉職した当時、娘は4歳だった。それから私は一度も日暮奈家に出向いていない。」
「・・・そうですか。」
まさか、こんなところに日暮奈3尉官の身内に出会うとは。
それも敵である陸自の陸将だ。
彼女にはどう話せばいいのか。
だが、記録を消したというのなら、彼女は知らないはずはないだろう。
だが何のために?
「敵である私が言うのもおかしな話だが、結美2尉官にこう伝えてくれ。・・・夕美を頼む、2人に平和が来ることを願っていると。」
なるほど、世名津陸将もあの2人の関係を知っていたか。
「とんでもない裏話を聞かされたもんだ。・・・了解しました、今回の件は、私の心にとどめておきます。結美にはそのまま伝えます。」
「頼む。・・・今日までは駐屯地内を自由に回ってくれて構わない。監視を2人つけさせることになるが、構わないだろう。」
「ここは我々にとって敵地です。それぐらいは当然でしょう、自由に回っていい件については感謝いたします。・・・では。」
書類を鞄の中にしまい、隊長室を退室する。
廊下で貴志川と合流し、駐屯地の厚生センターにある売店、「PX」に向かった。