ダーク・ファンタジー小説
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.82 )
- 日時: 2015/10/23 11:50
- 名前: 裏の傍観者 (ID: mQwVxhmC)
状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和
相模1佐官達に見送られ、赤羽基地を出発してから4時間。
一先ず武装傭兵団の本社へ向かい、社長と顔合わせをして1日が終わる予定だ。
装備は今まで使っていた物は全て基地に置いてきた。
事前に連絡を入れて向こうで装備を受けとる事になっている。
要は現地調達だ。
「結美さん、もうすぐ到着します。」
「分かりました。」
運転手はナビの画面を切り替える。
あと10分といったところだ。
トランシーバーを手にし、送信ボタンを押す。
「皆起きてるか?」
<1号車コンテナ組、皆起きてるぜ。>
この声は貴志川だな。
慶田先曹官はどうしたのだろうか。
<2号車コンテナ組、キャビンの2名合わせて異常無しですぜ。>
河瀬2曹官達も異常無しっと。
<3号車コンテナ組、こっちも異常なしですよ。>
華目3曹官達も異常無しだな。
全車両確認がとれた。
「あと10分で着くそうだ、各人準備しておけよ。・・・とはいっても手ぶらなんだけどな。」
<そりゃそうだな!にしても手ぶらって何回聞いても卑猥だよな、ハハハハハハッ!!>
慶田先曹官がでかい声で笑い始めた。
酒でも飲んだかこのおっさんは。
他の単車からも皆の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
親睦が深まってなによりだ。
「程ほどにな、今日の予定はミーティングで言った通りだ。着いたら振り分けられた部屋に直行からの装備確認で1日は終わりだ。注意事項をもう一度確認しておけよ。」
<<<了解〜。>>>
トランシーバーをしまう。
武装傭兵団はその名前の通り、傭兵だ。
恨みを買われてもおかしくはない集団。
基地のなかに本社があったとしても、国防軍の基地とちがって絶対安全というわけではない。
それを出発する前に皆に徹底させた。
「・・・ん〜?」
「起きたか夕美。」
「えぇ、状況は?」
「あと10分で着くそうだ、全車両異常無しの確認も取った。・・・夕美、服が乱れてるぞ。」
気づけば夕美の胸元が見えてしまっていた。
「!?」
それに気づいた夕美は直ぐに服の乱れをなおした。
寝ているときのガードが以外と弱いのが分かった。
「何よ。」
「いや、クールな夕美が寝ているときはガードが弱いなと思っただけだ。」
「ちょ、玲也!貴方ね・・・!」
「ハハハハハハッ!!」
思わず笑ってしまった。
夕美にもこんな一面があったとは、本当に可愛らしい。
「着きました、基地に入ります。」
「了解。」
運転手は書類が挟まれたバインダーを取り出す。
トラックは正面ゲートの前で止まり、警備にあたっている傭兵が向かってきた。
「運搬お疲れさまです、パスはお持ちですか?」
「お疲れさまです、この書類です。」
「預かります。」
運転手は傭兵に書類を渡す。
暫く確認をしていた傭兵が書類を運転手に返した。
「お待ちしておりました、結美2尉官。このまま地下補給庫へと向かってください。今そこに我々の車両が止まっています。誘導してくれるとのことなのでそれに従ってください。」
傭兵から指示を受けてその通りにする。
バリケードが一時的に解放され、トラックは傭兵に案内されて地下補給庫に到着した。
全員下車をし、整列する。
「異常は無いな?んじゃ予定通り行動だ。日暮奈3尉官と慶田先曹官、貴志川2士官は俺と一緒に来い。」
「「「了解。」」」
さて、これから世話になるこの組織の社長とご対面だ。
地下補給庫の休憩所から私は到着したばかりの彼らを見下ろしている。
本日から隠密行動の為に国防軍の1個中隊が私たち武装傭兵団の傭兵としてともに過ごすことになる。
問題はそこではない。
そう、私はその中隊の長である彼、国防2等尉官 結美 玲也が気になって仕方がない。
なぜ彼が自衛隊の特戦群をも越えてしまうほど強いのか。
私はその強さの理由が知りたい。
愛銃であるSCAR-Hを持って休憩所を出た。