ダーク・ファンタジー小説

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.84 )
日時: 2015/11/03 13:51
名前: 裏の傍観者 (ID: 5MxYhyVX)


「調査派遣中に分かったのは相手がキャリバー50を持ち歩いていること。・・・そして大量の発電機と何かに繋がれたケーブルだ。」

発電機とケーブルであの時のことが脳裏を横切る。
ビルの屋上に設置された巨大なアンテナ。
傍受するというより、発信を主に作られたような感じだった。

「敵に関する情報は申し訳ないが我々は持ち合わせていないのです。」

俺はもう一度原島社長に質問する。

「原島社長、会社側は夜間の行動を規制しているとか?」

「あぁ、前に夜間活動中に事故があって今も規制されています。」

「ここ最近夜間でクレームを受けたことは?」

「・・・おっしゃる意味がわからないのですが?」

「国防官としてではなく、俺個人からの情報を貴方に譲渡する。封鎖区域に夜間にもかかわらず活動している傭兵を確認した。それもアンタらが着ている装備とまったく同じやつを。」

この場に全員が驚いた。
夕美と貴志川は事前に話してあるから驚いてはいない。

「待ってくれ、確認したというのは?」

「いつぞやか好奇心の半端ない大男が封鎖区域のフェンスを越えてしまって、俺も同行する羽目になったんですよ。時間は0200から0330時位の間だ。」

「おい結美!?おめぇまさか・・・!!」

「安心しろ慶田のおやっさん。」

「お、おやっさん!?」

「仕方ないっすよ、ここでは階級で呼べないんですから。」

「そうだったな、でもおやっさんか!あはははははっ!!」

貴志川がフォローをしてくれた。

「話がそれたな、封鎖区域に踏み込んだのはあの三溝1曹だ。」

「尚更じゃねぇか!!」

慶田先曹官が珍しく落ち着かないな。

「だが情報はある程度持ち帰ってきた。ここから先が本番だ。」

夕美と貴志川に指示をする。
部屋の扉を施錠する。
貴志川はカーテンをすべて閉め、夕美は机の上に電気スタンドを設置、地図をその場に広げた。

「原島社長が言っていた発電機は、俺達が侵入した経路をたどっていくと15機はあった。ケーブルの接続先を調べていたが、中にはダミーで繋がれたやつもあって確証はないが、大体は判明した。」

プリントアウトしてきた写真を机に置く。
そう、あの時見た巨大アンテナが設置されたビルの写真だ。

「これは・・・テレビ局か?」

原島社長はそういって虫眼鏡でアンテナをじっくりと眺める。

「このアンテナの周り、様子がおかしくないかしら?」

夕美はアンテナの周りを指差す。
そう、俺も現場で見たときは何かと思っていたものだ。

「これは通信機材か何か?」

「そこまでは調べられなかった。途中敵と接触し交戦、あの大男が一人を捕獲して警察に引き渡した。」

「「「・・・・・。」」」

「情報は以上です、原島社長。」

「・・・わかりました、極秘故に貴重な情報、感謝します。解析には貴方方がお世話になっている組織にお願いしましょう。」

原島社長は社長席に向かい、インターホンで連絡をする。

「私だ、彼女を社長室にお連れしろ。」

<かしこまりました。>

扉の鍵を解除する。
しばらくすると扉が開き、一人の女性が入ってきた。

「やっと私の出番か、待ちくたびれたぜ。」

これまた口の悪い女性だな・・・。
風神2佐を一瞬思い出した。

「初めまして、だな。私は機十 編。国防技術研究本部のもんだ。」

「「はぁ!?」」

おっと、俺を除く国防サイド皆して驚いているな。

「ちょっと玲也!?今回の作戦は私達だけのはずじゃ・・・!」

「ちょっとした保険で俺が技研に一人よこせと頼んだんだ。」

「そういうこった。お前があの有名な結美2尉官だな?」

「おう、よろしくな。」

「全力でサポートさせてもらうぜ。

互いに握手を交わした。
彼女の目は、いい実験台を見つけたかのようでとても熱かった。