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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 明鏡止水【オリキャラ募集中】 ( No.30 )
- 日時: 2015/05/02 21:09
- 名前: ノクト (ID: b9w1N02U)
誰もいない夜のサーカス。
津々がここではない「どこか」へと転送されたのを見ていた人物がいた。
人物?人?いや、違う。
ヒトでもなく、「物」でもない———
生まれたばかりの「それ」は、無知な光をその目に宿し、無邪気に首をコテンと傾げた。
その手にはチェーンソーが月の光に照らされて輝いている。
ヒトではない「なにか」は、自らの手に握られているチェーンソーをみつめた。
その唇が三日月形に変わる。
まるで、自分の正体を思い出した、と言わんばかりの不気味な笑み。
「そうだ…ぼくの名前は———」
『ライ』
それが、このモノの名前だった。
ライは月の光で黄色に反射する黄緑色の瞳をきらりと光らせた。
狂気と殺意に満ちた眼光は、ゲームの参加者を確実に「捕食」していくことだろう。
「捕食」。それはプレイヤーがこの世界から抜け出せる可能性を一気に縮めるもの。
ライに課せられた義務はプレイヤーの殺害、妨害、そして、「捕食」
狂乱に満ちたゲームの、行く末はどうなるのか。
もはや誰にも、解らなかった。
ゲームの支配者ですら。
「でも、ぼくはきっといつか」
ライがそう独り言をこぼしたところで、世界は崩れていく。
「Remote」の文字を浮かばせながら、青い燐光に包まれて。
消えゆく世界のなかで、ひたすらに笑い続けているモノ。
それが、「ライ」だった。
Next.
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