ダーク・ファンタジー小説

Re: 狂ノ楽譜【オリキャラ募集中】 ( No.37 )
日時: 2015/05/10 14:38
名前: ノクト (ID: ksYmVYP2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode

おい。
なんだよこのメール。
禁止区域?「最悪の死に方」?話が突飛過ぎて理解が追い付かない。
だが嘘だとは思えない。
この異世界に来てからありえないことばかり起きているからだ。
それに、「嘘」にしては現実味が有りすぎる。
もしこれが「嘘」なら、この世界に来た時の既視感はどう説明すればいいのだろうか。

現実世界では起こるはずのない出来事が立て続けに起きて、へとへとだ。
現実世界「では」?俺は何を言っているのだろう。
もしかしたらあっちの世界での記憶が「夢」で此方が現実世界なのかもしれないではないか。
現実と夢。この二つはあいまいな境界線で区切られている。
もしかしたら、「現実」なんて無いのかもしれない。
だとしたら、俺たちが「現実」と呼んでいるものは一体何なんだ?

ダメダメ、こんなこと考えちゃダメだ。
人間は極限状態に陥った時、現実と夢の区別がつかなくなると言われている。
それは、「錯乱状態」という状態に値する。
軽い錯乱状態ならまだマシだが、酷い状態のときは敵味方の区別もつかなくなるという…。
恐ろしい。メールの内容とかゲームの説明とかそれ以前にその事実が恐ろしい。
自我を失うことは、この世界では「死」を意味しているからだ。
自我を失い、冷静さを失い、敵味方の区別もつかず。
これは決定的な死亡フラグだ。

これからどうしろというのだろう。
今の状況が理解できないため、これからの作戦を練ることは出来ない。
なにもかも理解できなくて、考えることを放棄してしまった。
「まずは寝て英気を養おう…」などと心にもない事を口にして、再びベンチに横になった。
瞼を閉じて、深呼吸をして。
楽しかったあの日々を思い出して、順番に頭の中を整理する。
そうすると、危機的状況には変わりはないが、少しだけ心に余裕ができた気がする。

大丈夫。きっと俺は助かる。

俺は自身の心に波紋のように現れた不安を、打ち消すように、そうつぶやいた。


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