ダーク・ファンタジー小説

Re: 明鏡止水【オリキャラ募集中】 ( No.9 )
日時: 2015/03/21 16:22
名前: ノクト (ID: ae8EVJ5z)


ほうら。
また。
またこの迷宮に迷い込んだ者たちがいる。
一、二、三人。
青い少女と、灰色の少女と、マグナムを持った少年。
彼女等もまた、この迷宮に招かれし者。
【導き手】の願いにのっとって連れてこられた者たち。
導き手———すなわち、この者たちを迷宮に誘い込んだ張本人。
そして現実世界と虚像の世界を支配する——ヒトが『神』と崇める者。


ここは虚像の世界、つまりは現実と因果律という特殊な鎖で結びつけられた異空間。
此方の世界と彼方の世界は互いに干渉し合い、その干渉の果てにあるものがヒトが呼ぶ『未来』というものだ。
つまりこの原理は法則であり摂理でもある。
原理、というのはこの虚像の世界と現実世界に共通するものだ。
ヒトの言葉ではうまく表せないが、複雑な関係で結ばれている。

さてさて。

これだけの人数ならゲームを開催できる。
まぁ人数はこれから増えるかもしれないけど——それもそれで良い。
ゲームは人数が多い方が楽しいのだから。
ん?私は参加しないよ?
私はヒトじゃないから。
ヒトの言葉でいえば私は———AIという奴かな。この迷宮を管理するための。
だから、ゲームの妨害も補助も出来るの。
私は青い燐光が走るスクリーンに手をかざし、ゲームの出場者を確認する。
ゲームの開始ボタンをぽちっと押して、出場者を大広間にワープさせる。
その途端ブザーが鳴り響いて、私の身体が透けていく。
浮かんでいる文字は「DELETE」の文字。
ああ、少し遊びすぎちゃったかなぁ。
でも怖くは無い。
消えるとしても痛みは無いし、バックアップデータならいくらでもある。
それを使えば私は何度でも甦る。
まぁ多少記憶の欠落はあるんだけど——
そういう状況も悪くは無いよね。
あれこれ考えているうちに私の体は消えていく。
音も無く、静かに。
私の身体が完全に消滅したとき——
電子音声が鳴り響き、私の身体は何事も無かったかのように再生していた。
バックアップデータのお陰だろう。
これでようやく、このゲームを楽しむことができる。
そう思うと胸がドキドキドキドキ、高鳴る。
AIにも、知りたいという好奇心や要求はある。
導き手がそのように作ったから。


あっ、そろそろ時間みたい。ゲームの開始時間が迫っている。
私は唇の端を吊り上げて、出場者がいる大広間にワープした。

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