ダーク・ファンタジー小説
- Re: ★パンやの剣士さん!~3人のこい~★ ( No.8 )
- 日時: 2015/03/26 20:14
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)
病院の、ベットの上に青はいた。
青には、管が繋がれ、今まさに、抗ガン剤治療が行われている。
枕の上には、青い短い髪の毛が、散乱していた。
最初は、吐き気など体も対応出来ていなかったが、今はもう慣れた。
ベットの上で、雑誌を読んだり(刀雑誌)、見舞客と会話を楽しんでいる。
会話は、感染予防のため、電話で行う。
個室の中に、外と繋がる電話が置かれているのだ。
顔も、見ながら話すことができる。
ガラス張りの部分が、少しだけあるからだ。
ほとんどの時間、青は寝ている。
今日も、また……
『今日は、紅がやってきた。
青は、受話器に手を伸ばす。
紅も、受話器をとった。
『紅!いらっしゃい!』
受話器から、変わらぬ声がする。
『元気か?』
コクン、と頷きながら、会話を進める。
『髪の毛が、ちょっと抜け始めたけれど、
そこまで苦しくないよ!』
受話器を持っていない、左手で頭に被ったニット帽をとった。
『わっ!出家したみたいだな。』
『ハァ!?坊さんってこと?』
ガバッと体を起こし、
顔を真っ赤にして、『坊さん』は怒った。
けれども、楽しそうだ。
この調子なら、治るかもしれない。
青は、ニット帽を頭に戻し、また横になった。
『今日は………ありがとう。もう、寝るよ。』
今にも、消えそうな声を出し、青は目を閉じた。
スースー、と手に握ったままの受話器から音がする。
『おやすみ。』
紅が呟くと、青は小さく頷いた。
受話器を元の位置に戻し、病室を後にした。
「………待ってるからな。」
紅は、小さくつぶやく。
帰ろうと、ロビーに降りた時、入り口から
アイツが入ってくるところを目撃した。
「緑!」
嘘だろ ……………
慌てて、エレベーターに向かう。
青を、取られたくない………
嫌だ………
エレベーターは、まだ来ない。
しまった!
エレベーターの止まっていたのは、青の病室のある階。
きっと、緑だ。
その時は、なぜか、
他の人物という考えが浮かばなかった。
紅は、階段へ向かう。
5段飛ばしくらいで、昇って行く。
急げ……………
途中で、『チンッ!』とエレベーターが、
到着した音が聞こえた。
ヤバイ………
青の階近くからだ!
スピードが、グンと上がる。
パタパタパタパタ………
汗が、吹き出し息切れがする。
残り、13段。
一気に、紅は駆け上がった。
足元に、金文字で『18』と書かれた数字が見える。
ついに、ついた。
遂に!
キョロキョロ、辺りを見渡し、青の病室を探す。
『千光寺青様』
そのプレートを探す。
どこだ………
緑より、先に着くんだ。
確か、角部屋。
日当たりの良い………南か、
その時、一つの病室の前に、
緑が立っているのが見えた。
「緑………」
受話器を、緑は落としそうになった。
「紅………」 』
青は、起き上がった。
寝ぼけ眼をこすり、辺りを見渡す。
さっきまでの、
出来事は、夢だったようだ。
だって、紅が来てくれるわけがない。
寂しさから見た、夢_______
だいぶ、リアルな夢だった。
窓からは、夜景が見える。
もう、夜のようだ。