ダーク・ファンタジー小説

Re: ★パンやの剣士さん!~3人のこい~★ ( No.9 )
日時: 2015/03/26 19:31
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)

膝の上に、置いた本がズルリ、と床に落下した。

普段、青は、本を読まないのだが、
入院中は、することがないので、本を読んでいる。

難しい書籍は、ほとんどなく、ファンタジー系の小説が多い。
どれも、緑が買ってくれたもの。

青は、落ちた本を拾おうと手を伸ばした。

その時、もう一つ腕が伸びてきて、本を拾い上げた。

あっ………私、今クリーンルームにいないのか。
今は、誰でも入ることのできる、病室なんだ。

病院の中では、どこにいても、同じ場所にいるようにしか思えない。


「!?」

青は、体を起こし上を見上げた。
緑。

「ありがと。」

緑の手から、サッと本を奪うと膝の上に乗せた。

「青、こういうの読むんだ。買ったけれど、読むんでくれるか、心配だったんだよね。」

ベットの端に腰掛けた蛇月は、さっき膝の上に置いた本を奪った。
パラパラと、長い指でページをめくって行く。



「返してよ!」

体を起こし、本に手を伸ばす。
指先を、ピクピク動かすが、届かない。

「うぁぁっ!」

手を伸ばしても、
私が数センチ伸ばせば、緑も数センチ離れる。

「返しなさいってば!」

青は、絶叫にも近い声を出す。

パタン!

緑は、本を閉じた。

「分かった。返すよう。」

テーブルの上に、緑は本を置いた。
青は、すかさず手を伸ばす。

ピタッ

青が静止した。
青の額には、緑の爪が刺さっている。

「いっでぇー!」

額を押さえた青は、バフンッとベットに倒れた。
それを見て、緑は笑っている。

「緑ぃ!」

青は、緑の道着の袖をつかんだ。