ダーク・ファンタジー小説

Re: 命を売り買いする場所。 ( No.18 )
日時: 2015/06/13 13:33
名前: とりけらとぷす (ID: EjFgzOZO)

ここから下、現代になります。
話が途切れてしまったので、分かりにくいと思い、
一応書きました。



「それでね……嬉しかったの。だから、私は…貴女に名前があればいいと思ったの。でも、なんか、本当に悪いことしちゃったな」
「そうだったんですか…。お気遣いありがとうございます。でも、私、大丈夫です。それに、私とあの方は出会ってからまだ時間も短いですしね」
僕はまだ、ドアにぴったりと耳を当てて、2人の話を聞いていた。
シフティが、軽々しく名前を付けたら、と言ったのでは無かった事なんて、僕は解っていた。
シフティの話を聞いて、名前がある事の嬉しさもよくわかった。僕は生まれた時からあるものが、彼女には無いんだ。それを、僕は勘違いして、犬に名前を付けるようだ、なんて。
また、僕の正義感が1人の人を傷つけてしまった。
そんなことを1人ドアに腰掛けて反省していると、急にドアが開いた。
「レオ様!?」
腰掛けていた僕が倒れたのを見て、シフティが目を見開いて言う。
そして、直ぐに僕の体を起こさせて、首を捻って僕に尋ねた。
「あの、レオ様…ここで、何を…?」
それを聞いて、僕の目が泳いだ。
正義感の強い僕が、2人の話を盗み聞きしていたなんて、とても言えない。
僕が動揺していると、390が落ち着いた声で言った。
「全部聞いてたんですね、レオ様」
「ああ……、すまない」
僕は、これしか言えなかった。''言えなかった”というより、言わなかった。別に、言い訳しようなんて思わない。失態を起こした時は、素直に謝るのが一番だ。その後に、何を言われようと、僕の失態だから仕方がない。
微妙な空気に圧倒されて、心が苦しくなるのを感じていると、窓から夕日が差し込んできて、僕たちをくれないに染めた。
しばらく沈黙が続く中、急にシフティが思い出したように手を打った。
「私も、レオ様に謝らなければいけない事が…」
そう言って、シフティは申し訳なさそうに身を縮めた。
「私ったら、なんていう失態…!申し訳ありませんでした!」
僕は、何故シフティが謝るのか理解出来なかった。
盗み聞きをしていたのは僕だし、2人は話をしていただけだ。
「だから、つまり…シフティ、君は何を言いたいんだ?何故謝る?」
「家庭教師の方が…レオ様は、家庭教師のお勉強の時間であったのに…!私は、私ごとではしゃいでしまい、レオ様をお部屋にご案内するのを忘れてしまいました…」
家庭教師…そういえば、シフティが広間に入っていた時に入っていたような気がする。
今日は火曜日。僕はいつもなら、四時には勉強部屋に入り、家庭教師に教わっているはずだった。
ポケットからペンダントの時計を取り出し、時刻を確認する。
短い針は、5を指していた。
「いや、シフティ。まだ、間に合うかもしれない。普段なら、6時までだから」
「いえ、しかし…レオ様の勉強時間を半分以上削ってしまいました」
「じゃあ、これでおあいこだな。僕が盗み聞きしていた事と」
そんな会話をして3人で笑っていると、遠くから、かーんかーんと大理石の床を駆ける音が響いてきた。
遠くに見えるとんがり帽子を被った、全身茶色の男の人。そう、あれは、僕の家庭教師だった。
周りをきょろきょろと確認している様子から、僕を探しているのがわかる。
ーーーーーーーーまずい。
僕は振り返ってシフティと390に言った。
「早く、僕から離れろ!君達が疑われる!裏出口から屋敷を出るんだ!」
2人が僕の近くにいれば、2人は間違いなく疑われる。僕を勉強部屋に連れて行かなかったことで、2人は罪を問われてしまう。
「しかし…これは、私の責任です」
シフティが何の焦りもなく言うので、僕は2人の手を引き、駆け出した。
「いいから、早く裏出口へ行くんだ!これは、命令だ!僕はこっちで話を付けておくから、早く!」
僕が走りながら言うと、2人はこくりと頷いて駆け出した。僕は2人の手を離し、家庭教師のいたところを目指して歩く。
遠くの方で見えている家庭教師が、ようやく僕に気づいたのか、こっちに向かって来る。僕は何も知らないような顔をして、彼に近づいた。



一旦ここで切ります⊂((・x・))⊃