ダーク・ファンタジー小説
- Re: 命を売り買いする場所。 ( No.22 )
- 日時: 2015/06/23 16:20
- 名前: とりけらとぷす (ID: IS3fXoEU)
屋敷をでても、390は走り続けた。
「何処へいくんだ、本当に!」
「私、あの人知ってるんです!」
”あの人”とは、どうやらロベルトのことを指しているらしかった。
小路地を抜け、広場や牢屋を抜けても、390は走るのを止めない。
「何故、君がロベルトの事を?」
「話すと長くなります。とにかく、今は走ってください!」
僕は、彼女がどこへ行くのか知らなかったが、今は彼女を信じて走った。
「着きました」
あれから10分ほど走ったところで、390は足を止めた。
「灯台じゃないか」
息を切らして言う僕とは裏腹に、彼女はなんともないような顔をしていた。
「君は、しんどくないの?あれだけ走ったのに」
僕が聞くと、390はけろっとした顔で言った。
「プレタリアは、運動能力に優れているんです。もう、大丈夫ですか?」
390が、僕に手を伸ばす。
僕はまだ大丈夫ではなかったが、彼女の手を取り、
灯台の長い螺旋階段を登り始めた。
「ところで、どうして灯台へ?」
「あの人がいるからです。彼の本名は、ピエタ・ロマーノ。レオ様の父上様の、親友の息子です。彼は、ここの灯台守りもしています」
「何故、君がそんな事知ってるんだ?それに、父上の親友?僕は初耳だ」
「それはーーーーー。あ!レオ様、あの人です!」
390が指差した場所には、誰かがいた。
暗くてよく見えなかったが、どうやらロナウドのようだった。
僕達が登っている螺旋階段の丁度反対側に、彼はいる。
「行きますよ、レオ様!」
「また走るのか!?」
「勿論です」
そう言って僕達はまた走り出した。
390は、僕をロナウドに会わせようとしているんだろうか。
僕は、ロベルト色々な事を踏み躙られたんだ。
会いたくない。気まずい。情けない。
色々な感情が、僕の中を渦巻いた。
僕は何度か止まろうと試みたが、390が僕の手をがっしりと握ってしまっていて、止まろうにも止まることが出来ない。
とうとう、僕達はロベルトに追いついてしまった。
ロベルトは、僕達を見て、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにニタァと気味の悪い笑みを浮かべた。
「やあ、また来たんですか?レオ様…と、プレタリアのメイドさん」