ダーク・ファンタジー小説
- Re: 命を売り買いする場所。【オリキャラ募集中】 ( No.4 )
- 日時: 2015/06/13 13:28
- 名前: とりけらとぷす (ID: EjFgzOZO)
第2話【誰も救えない】
母親は、僕の部屋に入り、ソファに座って、息を整えていた。
今年30になる母親には、走るのは身体の負担があったようだ。
しばらくすると、メイドがやって来て、僕と母親の前にレモンティーを置いた。
「あら、シフティ、ありがとう」
シフティは、メイドと呼んだが、奴隷だ。
母親の親友で、父親が、母親の誕生日プレゼントに買ったという。
シフティは、いいえ、と言って笑った。
「ごめんね、シフティ。貴女とお話したいのは山々なんだけど・・・」
「わかりました。レオ様とごゆっくり」
シフティが、静かに扉を閉めたのを見送ってから、母親は、深刻な顔をして重い口を開いた。
何度か口をパクパクして、ためらったように見えたが、母親は僕に話してくれた。
「レオの質問のことだけどね、奴隷についてどう思うかっていう・・・。私、石台に乗せられて、貴族たちに値段を叫ばれる気持ちは、よくわかるの。嫌だった。同じ人間なのに、私達は、売り物なんて。」
「じゃあ、助けよう。母上も、力になってくれよ」
母親なら、力になってくれるかもしれない。
期待を胸に、母親の返事を待っていると、母親は、素っ気なくこう言い放った。
「無理よ」
「ど、どうして!」
気持ちがわかるのに、昔の仲間なのに、助けない。
僕は、その意味がわからなくて、何度も母親に問い返した。
「仲間なのに?気持ちが痛いほどわかるのに?何故?何故なんだ!」
すると、母親は、困ったような、でも何処か沈んだような顔で、僕を見つめる。
「レオ、奴隷ってね、犬と同じなの。ペットなの。犬も、飼い主に飼われて、ご飯を与えて貰わないと、生きてけないでしょ?それと同じ。私達奴隷も、貴族に買われて、雑用を押し付けられて、なんでもして、ご飯が貰えるのを待ってないと、生きてけないのよ。そう考えると、私達って、犬以下だったのね。笑えてきちゃう。人間が、人間を飼うなんて」
最後に、わかった?この話はもう終わり、と言って、
僕の部屋から出て行った。
人間が、”人間”を飼う?そんなこと、あっていいんだろうか。いや、いけない。あってはならないことだ。
僕が、救わなくては。
一旦ここで切らせて頂きます。