ダーク・ファンタジー小説

Re: 命を売り買いする場所。 ( No.52 )
日時: 2015/08/30 15:40
名前: とりけらとぷす (ID: yZSu8Yxd)


お久しぶりです!
約一週間ぶりの更新となります!
ちょっと涼しくなってきたところで、ヤル気がでてきた模様です(笑)

↓以下、本編となります。

第13話【海の向こうの答え】

僕とロベルトは何故か海に来ていた。
そう、あの父親と見た海だ。
「一体絶対、何でこんな所に来たんだ」
疲れ果てた僕は地面にしゃがみ込んで言った。
もう日はすっかり沈んでしまっていて、星空が綺麗だった。
海はゆらりゆらりと僕らに迫ってくるようにも、避けていくようにも見える。
「もしかしたら、ここに答えがあるかもしれませんよ?」
ロベルトはさらっとそんな事を口にした。
全く。海が見たかっただけじゃないのか?
暗くてよく見えないし、月は今、雲に隠れてしまっている。
「綺麗ですねぇ、夜空」
「ロベルト、お前、本当に散歩したかっただけだろ?」
「まさか」
子供のように空の虜になっているロベルトを見て、何だか馬鹿らしくなってきた。
夕食も食べないで出てきてしまったものだから、お腹が空いて仕方がない。
「ロベルト、もう帰ろう。ちゃんと散歩に付き合ってやったじゃないか。ほら」
「綺麗ですねぇ、海。夜空の鏡みたいですね」
「話聞けよ!」
ロベルトは、はっとした顔で僕を見て、何でしょう?と間の抜けた声で言った。
「すみません…。寝不足で頭が回らないものでして」
「じゃあ、もう帰って寝るんだ。僕も帰る」
後ろを向いて歩き出すと、ロベルトが腕を掴んできた。
何なんだよ、もう。
むっとして振り返ると、ロベルトが死にそうな顔で僕を見ていた。
「すみません……。私の家、何処でしたか?」
「え。直ぐそこだろ?」
僕は、10メートルほど先の灯台を指した。
「あ、ありがとうございます」
ヨレヨレになりながら歩いて行くロベルトを見て、不審に思った。
あんなロベルト、見たことがない。
しばらく見送っていると、だんだんロベルトの体が右に寄ってきて、海の方へと歩いている。
ーーーーーこのまま行くと、落ちてしまう。
僕は、走ってロベルトまで追いついて、ロベルトを左へと押した。
「ロベルト、どうしたんだ?」
「すみません…。熱があるみたいです…」
「さっきからすみません、すみませんって。……熱?」
ロベルトは、こくりと頷いた。
背伸びして額に手を当ててみると、確かに、熱かった。
「肩貸すから、腕回して」
「え…小ちゃい…」
「文句言うなよ。ほら、行くよ」
こうして、僕は長い路線階段を上ることとなってしまったのだ。