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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 命を売り買いする場所。 ( No.54 )
- 日時: 2015/09/15 07:57
- 名前: とりけらとぷす (ID: rBxtXU8t)
それから僕達は夕食を済ませた。
ロベルトは高熱の為食欲がないと言って食べなかったが。
時計はもう9時を回ってしまっている。
アザレア婦人がこんな夜中に子供一人で帰らせるのは心配だと言うので、お言葉に甘えて泊めてもらうことにした。
僕はアザレア婦人とロベルトを部屋まで運ぶのを手伝い、食卓の近くのソファへ腰掛けた。
随分疲れたようだ。体が重い。
僕は直ぐに、深い深い眠りに就いた。
「おはようございまーす」
そんな声で、目が覚める。
そこには、ピンピンとしたロベルトの顔があった。
良かった。どうやら、熱が下がったらしい。
「もう、大丈夫なのか?」
「ええ。この通り。ありがとうございました」
「礼を言われるようなことはしてないけどな。アザレア婦人がロベルトにつきっきりだったんだ。アザレア婦人に礼を言うべきだな」
そう言うと、ロベルトはそうですね、と言って笑った。
最初の頃と比べると、ロベルトは表情豊かになった気がする。
僕はアザレア婦人が作り置きしていったというバケットとスープを食べ、ロベルトとともに海へ向かった。
「そういえば、ロベルト。お前、海の向こうに答えがあるとかないとか言ってたよな?」
僕が何となく言うと、ロベルトはハッとした顔で僕を見た。
「そうなんですよ!あったんです!私が熱を出したあの日、私、見たんですよ」
珍しくはしゃぐロベルトを見ると、まさか…という考えが頭に浮かんだ。
「まさかお前、流れ星とか言うつもりか?」
僕が冗談で笑いながら言うと、ロベルトは真剣な顔をした。
「ほら…ーーーあれですよ」
海が見えたところで、ロベルトが指したものーーーそれは…。
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