ダーク・ファンタジー小説

Re: 命を売り買いする場所。 ( No.7 )
日時: 2015/04/18 19:28
名前: とりけらとぷす (ID: WfwM2DpQ)


次の日、俺とピエタは空っぽになったはずの牢屋の近くを歩いていた。
「おい、カナリオ!人だかりができてるぞ!」
ピエタが、牢屋の方を指して言った。
「牢屋に?昨日、俺たちが空っぽにしたろ?」
「近くまで行ってみよう。何だか、悪い予感がする」
ピエタが、牢屋の方へ走り出したのを見て、俺も後をついて行った。牢屋に近づくほどに、ガヤガヤとした大勢の声が聞こえてくる。牢屋の周りには、多くの人が集まっていた。
「一体、どうしたっていうんだ?」
俺が言うと、ピエタは真剣な顔をして言った。
「とにかく、行ってみるんだ」
俺たちは、人混みを掻き分け、その中心部に向かった。
「ピエタ、何か見えるか?」
そう言ってピエタの顔を見ると、ピエタは真っ青な顔をして、崩れ落ちた。
「人が・・・。番人が、死んでる・・・」
「・・・え?」
”死んでる”その言葉に、心当たりがあった。俺たちが、番人の意識を一時的に消そうとして、気絶させようとして落とした、大きな石。鍵を取り出す時に付いた、生温い血。
俺は、立ちあがれないピエタを置いて、1人走った。何人もの人を押しのけ、牢屋の入り口を見たとき、自分のした事の重さがわかった。
下がって下さいと言う何人もの警官。その奥に、2人の街医者に囲まれた、横になった番人が見えた。
牢屋のコンクリートの地面が、血が染みて赤黒くなっている。
怖くなって、そこから逃げ出した。何とか立って、ピエタを引っ張って、広場に出た。
「ピエタ・・・。俺たち、ヒーローだし、英雄だ。そうだよな・・・?俺たちのした事は、間違ってなかったよな?」
ピエタは、答えなかった。
「何とか言ってくれ!」
ぼそりとピエタが何かを言った。
「ひ・・・ごろ・・・だ」
「聞こえない。もう少し大きな声で言ってくれ」
ピエタは、ため息を吐いて、俺の顔を見て言った。
「僕達は、人殺しだ」






いつの間にか、私はレオの部屋の前で寝てしまっていた。嫌な夢を見たものだ。夢では無く、記憶が蘇っただけかもしれないが。

頼むから、レオ。私みたいにならないでくれ。