ダーク・ファンタジー小説
- Re: 最凶男のひまつぶし ( No.1 )
- 日時: 2012/06/29 20:10
- 名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)
第一章【遅男流鏑馬桂馬による水面下で起きた逆襲劇】
俺は虐めが許せない。虐めなんて低脳な人間のやる思いやりの無い馬鹿な行為だ。
虐められる方にも虐められる理由がある?違う、理由があろうと虐めていい理由にはならない。そんな言い訳をする人間を、俺は何人も知っている。だけど俺には、それを知らせる勇気が無い。
俺が孤立していた時、手を差し伸べてくれた彼女のイジメの事を知らせる勇気が無い。臆病者なんだ、俺は。
流鏑馬桂馬は一人校舎裏で頭の中で自身を責めていた。彼のいるクラスでは、ある女子をターゲットにイジメが起きている。
そのいじめられている彼女は、桂馬に唯一優しく接してくれた恩人でもあった。だが桂馬は、また孤立する事を恐れ、何も出来ないでいた。
彼女が毎日の様に虐げられている中、桂馬は教室の隅で座っている事しか出来なかった。
桂馬は、それが悔しかった。俺は恩人に対して何も報いる事は出来ないのかと。
そんな桂馬にすら、彼女は笑ってこう言うのだった。
「気にしないで!桂馬君は悪くないよ!」
……俺は悪くない?君を助けられないのに?止めてくれ、そんな慰めは。君も誰かに助けを求めてくれよ。俺にはどうしようもできないんだから。頼む、これ以上堪えるのは止めてくれ……。
君を失ったら、俺はどうしたらいいんだ——?
違うだろ?
頭の中で誰かの声が聞こえた。声からして男声だったので、男だと想像は付くが……声?
桂馬は半ば泣きかけの目を擦ると、辺りを見渡した。違う、誰かが話しかけているわけじゃない。俺の脳に直接——?
誰かに助けを求めてくれ?違うだろ、お前が誰かに助けを求めたらいいんだろ?
そうだ、正論だ。でも、論理的な考えと感情的な考えでは矛盾が生じる。論理的には僕が誰かに助けを求めれば解決するし、僕自身誰かに助けを求めればいいと思っている。だけど僕はそれを知らせる勇気が無いから行動に移せない。矛盾している、矛盾矛盾矛盾ッ……。
お前の勇気なんてどうでもいいんだよ、お前が勇気を出せばいいだけだろうが。
そうだよ、そうさ。でもそれが出来ないから困ってるんだろ!?黙ってろよ馬鹿!消えろ死ね!
……って、俺は一人で何考えてるんだ?とうとう精神まで病んだか。
——そんな根性なしのお前に、勇気を出せる力をくれてやるよ。
その瞬間、桂馬の体は眩い白光に包まれた。しばらくして、光も弱まりだした。その時、その声がまた頭の中で響く。
その力で足掻いてみろよ、遅男。
——今回のひまつぶしは、復讐者VSイジメ……か