ダーク・ファンタジー小説
- Re: 最凶男のひまつぶし ( No.4 )
- 日時: 2012/07/03 20:08
- 名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)
この能力『スロウ』を発動する場合、条件を満たしていなければ発動できないらしい。
自身が授かった能力であるスロウの情報が書かれたメールが、桂馬の元へと届いた。桂馬が寝る前に何気無く確認したメールの中に、見知らぬ人物からのメールが届いていて、桂馬は不審に思う。
——なんでメールが届くんだ?
こんな奴とは会った事も無いし、メールアドレスだって交換していないし流出したという可能性も低い。じゃあ何故コイツは……?
そんな疑問を抱いていたが、メールの文面を見るなりその疑問は確信に変わった
from:蝶番公人
sub:Re:能力について
君にあげた能力の事で、説明をしてあげよう。
その能力には発動する為に条件がいる。
一つ目は、君が危害を加えられそうな時。その場合、君に危害を加えた人の動く速さは普段の1000分の1程の速さとなる。
二つ目は、君の彼女の唯ちゃんに危害が加えられそうな時。その場合、唯ちゃんに危害を加えた人の動きを君の意思で止める事が出来る。ただしこの能力は君が唯ちゃんの半径10m以内に居ないといけない。
どう使うかは君次第だけどね。じゃあ頑張れ、ラブコメ野郎。
PS.クローバー君が君の所へ向かってるよ。
メールの文面に気になる箇所が少々あるが、一番気になるところはここ。クローバー君という人物が誰なのか。あとついでに、コイツは俺の能力を知っている人間という事になる。
俺の能力を知ってるという事は……コイツも、何かの能力者か?
桂馬は首を傾げるが、とりあえず味方だろうと決め付けると寝床へついた。
朝日が窓から差し込み、空も真っ青。天気は快晴也。
桂馬は珍しく朝早くに起きた。昨日はこの能力の事でワクワクして眠れなかったのだが、こんなに早く起きれたのも奇跡だ。と、桂馬は自分の能力の最終確認を行った。
まず、桂馬は本棚にあった本を上に放り投げると、そのまま気を付けの状態で待機。投げ出された本は桂馬の頭目掛けて落下してくる。
丁度本の角が当たり、桂馬は頭を押さえて悶えている。
「自分でやった攻撃は無理なのか……」
そう呟くと、今度は近くの机に置いてあったスーパーボールを手に取ると壁に向かって思いっきり投げつけた。
スーパーボールはガンと壁にぶつかるともの凄い勢いで跳ね返ってきた。
ガン。
スーパーボールを鼻で受けて、桂馬は鼻を押さえて悶えていた。
「これもダメかー……」
そうこうしている内に、時計の針は7時を指している。
やっべと桂馬は準備を整えると、急いでリビングへと向かった。
@某所
「えーとさ、公人。
何でよりによって僕なわけ?もっとスペードとかの方があの……誰だっけ?桂馬君?的には得意な相手じゃないの?」
背中に大きな筒を背負った彼は、携帯電話で公人と話している。勿論、携帯は怪しまれないようにしているだけで、実際公人は心の中に語りかけているのだが。
——分かってないなぁ、あえて桂馬にとって不利な君を送ったんだよ。だって彼に勝ってほしくないし。
「あ、桂馬君負けさすの?なんでー?」
——俺は青春系よりもサバイバル・ホラー系の方が好きなんだ。
「あ、そうすか。
でもさー、桂馬君にレベル4はきついんじゃなーい?死ぬかもよ」
——今言ったろ、俺はサバイバル・ホラーが大好きなんだって。
「……つまり、生き返れるから全力で
殺せ、って事ね」