ダーク・ファンタジー小説
- Re: Amnesia ( No.28 )
- 日時: 2015/06/09 22:06
- 名前: のれり (ID: R4l9RSpR)
僕は呼吸荒く階段を上りきり、舞の部屋へと向かった。
コツコツと舞の部屋をノックした。
とたん、部屋の中から聞こえていた話し声がピタリと止んだ。
数秒後、僕の目の前で扉が開いた。
部屋の冷たい空気が僕の頬を撫ぜていく。
舞が、扉の隙間からひょっこりと顔を出した。
舞の顔がニヤけている。
気分が悪い。いくら僕と同じ顔だとしても、ニヤケ顔でじっと顔を見つめられるのは気分がいいとは言えない。早々に立ち去りたい。そして、自分の部屋でゆっくりと休みたい。
「舞、これ」
僕は舞にケーキとジュースの入ったビニール袋を手渡すと、くるりと方向転換し、歩き出そうとした。か
「待って」
はっし、と洋服の裾を信じられないくらい強い力で掴まれた。抵抗したら、ちぎられるんじゃないだろうか。流石にそれは御免だ。
「…なんだよ…舞—…?」
「ちょっと、部屋に来て」
「—…!なんでだよ」
舞は相変わらずニヤケ顔だ。
「いいから」
そう言って舞はグイグイと裾を引っ張って部屋へ引きずり込もうとする。
僕は裾をちぎられるのは嫌なので、仕方なく少し舞に付き合うことにした。
部屋に入ると、咲ちゃんがポツンと一人で座ってうつむいていた。
彼女の耳は真っ赤だった。暑いのだろうか?
「ほら、咲!」
舞が、咲ちゃんをせかしている。なにかすることでもあるのだろうか?
「あ、あぁあ、あの!し、しょしょしょ、しょうたゃしゃん!」
すごく噛みまくってはいるが、咲ちゃんは堂やら僕に言いたいことがあるようだった。
僕が、咲ちゃんの真意を図るために、じっと見つめると、咲ちゃんは更に赤くなって、茹でダコのようになってしまった。
困った。対処の仕方が分からない。
「えっと…咲ちゃ—…」
「あの!」
咲ちゃんが声を張り上げた。突然のことでびっくりした。
「翔太さん!」
さっきと同じセリフだ
「う…あ、あの!す、す…スキ…です!あ、その…つ、付き合ってもらえませんか…!?」