ダーク・ファンタジー小説
- Re: Amnesia ( No.37 )
- 日時: 2015/06/24 19:36
- 名前: のれり (ID: R4l9RSpR)
ピンポーーン…
家のインターホンが家に鳴り響く。
姉さんがはーい、と返事をしながら廊下をぱたぱたと、駆けて行く音が聞こえてきた。
舞が__…来たんだ_…。
今はただ、舞のあの瞳に対する恐怖しか抱いていない。
「さえかー?舞ちゃんが来てくれたわよー?」
姉さんが階下から私を呼んでいる。
私は、深呼吸してから返事をして下に下りていった。
「いらっしゃい。ま……」
『舞。』と、言おうとしたところで、私の口は喋るという機能を忘れてしまった。
左から順に姉さん、舞、そして…
「だれ…?」
ついそう口走ってしまった。
「ふっ、ふふふ、ふふふふふっ」
天使の笑い声が聞こえてきた。
「さえかさん。今日は兄と一緒に来ると言いましたよ?」
くすくすと舞は笑い続けている。
「…!」
そうだった。たしか、そんなことを言っていたような…
顔がほてってくる。
「どうも。舞の兄の翔太です」
その人—…翔太さんは私に優しく微笑んだ。
微笑んだ顔は舞と同じ顔のはずなのに、全く違った可愛らしさがあった。
男の人に可愛らしい、というのもおかしいとは思うが…。
「あ、さえかです」
少し微笑んでみた。
すると、舞がいきなり私と翔太さんのあいだに入り込んできた。
「あの、私、さえかさんと話がしたいです。さぁ、さえかさん、行きましょ!」
そう言って舞は私の腕に絡みついてきた。
さっきまで舞に抱いていた恐怖が嘘のように舞が可愛くてしょうがなかった。
そうして、自然と私と舞、姉さんと翔太さんというペアができていた。
姉さんは、翔太さんと二人きりになっても構わなそうだったので、私達二人は、部屋へと向かった。
舞は部屋に入り、キョロキョロと部屋を見回したあと、ベットの近くに腰を下ろした。
「さえかさん」
いきなり話しかけられ、私の肩がビクッと跳ねる。
「私が怖いですか」
「な、に…?」
心の中を読まれたようで、私は背中に嫌な汗をかいた。
「でも、私も怖いんです。さえかさん。翔太のこと、どう思いますか?」
はい?し、翔太さん?どうって言われても——…
「かっこいい…とは思うけど…別に…タイプじゃな—…」
「本当ですか!?」
舞は、私の話を最後まで聞かないで話し始めた。
「え、うん」
「よかったぁ〜」
舞は心底嬉しそうに微笑んでいる。そんなに喜ぶところだろうか?
「ふふ、やっぱり、さえかさんとは良い友だちになれそう」
舞が何かをつぶやいた。でも、よく聞き取ることはできなかった。
「舞、今なんて—…」
「そんなことより、さえかさん」
舞はまたもや私の話を聞かずに話しだした。
「翔太の本性、知りたいですか—…?」