ダーク・ファンタジー小説

Re: Amnesia ( No.40 )
日時: 2015/06/25 19:28
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

「さえかさん。翔太の第一印象はどんな感じですか?」
「え…うん…と…」
翔太さんの第一印象…色素の薄い髪が風に微かになびいていて…強いて言うなら

「爽やか?」
「ふふ、そうですよね。まぁ、大体は合ってます」
舞はそう言って微かに笑った後、言葉を続けた。

「翔太は私のことを、独占欲が強いと思ってるんですよ」
前、呟いてました、と舞は笑いながらそう言ってきた。

「でも、ね。翔太は私なんかよりずーっと独占欲が強いんですよ。
たしかに、だいたいの事はそこまでじゃないんです。だけど」

舞は声を潜めた。

「一つのことにのめり込むと、ただそのことだけに夢中になるんです。
そして、誰かが横取りしようとすれば…ふふ、私でも保証しきれません。私も一回、病院送りにされました。あの時は痛かったなぁ」

病院送り…とてもそんなふうには見えなかった。すこし、鳥肌が立った。

「でも、可愛そうですね。静さん」
「え、姉さん?」
なんで、ここで姉さんが出てくるのだろう。

「あれ、気が付きませんでしたか?」
なんの話だろう
「翔太。ずっと静さんを見てましたよ?」
嘘。え、待って…
「翔太、静さんが好きなんじゃないでしょうか?」
そんな…
「執着しだすのも、時間の問題かと…静さん、コワレたりしないといいですね」

姉さん_…!

私は座っていた椅子から勢い良く立ち上がり、ドアの方へ駆け、ドアノブに手をかけた。
「待ってください、さえかさん。落ち着いてください。静かに。ゆっくりと下に降りて、様子を探ってみましょう」

舞が私の腕を掴んで止めていてくれた。そうだ、落ち着かなくちゃ。
私は舞に無言で頷き、ゆっくりと下へ降りていった。

姉さん、翔太さんは危険なの_…。