ダーク・ファンタジー小説
- Re: Amnesia ( No.46 )
- 日時: 2015/07/04 18:40
- 名前: のれり (ID: R4l9RSpR)
姉さんが入院してから、五日になった。
今日も私は姉さんのお見舞いに来ていた。と、言っても、姉さんは一向に目を覚まさない。
姉さんの病室の扉を押す。
一歩。部屋の中へ足を踏み出すとそこには——…。
「姉さん…!?」
姉さんが上半身だけを起こし、窓の外を見ていた。
私は、お見舞いに持ってきていた花束を落としてしまった。
パサリ、と乾いた音がした。私は花束などそっちのけで、姉さんに駆け寄った。
「…姉さん…」
自然と、涙が溢れてくる。
生きてた。姉さんが…生きていたんだ。
…ぁあ、よかった…よかったよぅ…。涙が止まらない。姉さんの顔を見たいのに、涙で歪んで見れない。
私は姉さんに抱きついた
姉さんの声が聞きたかった。『さえか』とやさしく呼んで欲しかった。
でも、いくら待っても姉さんの声は聞こえない。私は不審に思い、姉さんの顔を覗きこんだ。
「姉さ——…」
「ごめんね。貴方はだぁれ?」
「………………………ぇ…………………?」
なんて…いったの……?
「人違いじゃないかな?」
なんで。どうして。姉さん。どうしたの?なんでそんなこというの?うそだよね?じょうだんでしょ?
姉さんは、変わらず困ったように微笑んでいる。
なんで?いやだ。どうして。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
そうだ。
翔太さんのせいだ。
許せない。絶対に許さない。
返して。返してよ。
姉さんの笑顔を…返してよ………………
私の意識は途絶えてしまった。