ダーク・ファンタジー小説

Re: Amnesia ( No.6 )
日時: 2015/05/29 22:20
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

私は彼を許さない。


私と姉さんは昔から仲が良い姉妹だった。私は姉さんのことを
あいしていたし、姉さんも私のことを愛してくれていると、姉の表情や仕草から、すごく伝わってきた。
私と姉さんは孤児だった。これは義母から聞いた話で、私も姉さんも詳しいことは聞いていないのだが、私達の両親は私達を家に残し、出かけていたところ、酒に酔った運転手が父と母の乗った車めがけて突っ込んだのだという。
運転手、そして父も母も即死だったという。
私達の身内は当時入院中であった高齢の祖母しかおらず、幼い私達姉妹を
育てていける様子ではなかったため、私達は孤児院へ入った。

そんな中、私達は義母に出会った。
義母は私達を見初め、私達を引き取ってくれた。
すでに物心ついていた私は、義母を『母』としてみるのに抵抗を覚えていたのだが、
そんな私を見た姉さんが、ふわりと笑いこう、私に告げた。                                           「さえか…?別に、焦る必要はないのよ。慌てなくていいわ。
 まだ時間はたっぷりとあるもの。ゆっくりと慣れていけばいいわ。すぐに
 慣れなくても当たり前よ。問題ないわ」

そう言って私を励ましてくれる姉さんの笑顔をとても優しかった。
そして、
すぐ慣れなくても当たり前、と姉さんはいっていたのに、すぐに義母と仲良くなれている姉さんはかっこいいな、なんてぼんやりと考えてみたりした。

義母は私達を愛で満たしてくれた。
私は次第に義母と打ち解けていった。

大好きな姉と大好きな義母。

私は幸せを感じていた。

だがそんな幸せな日々はそう長くは続かなかった。